「Armadillo-810」の開発セットに含まれる3枚の基板
「Armadillo-810」の開発セットに含まれる3枚の基板
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リアルタイムで顔認識を行った結果をカメラの映像に描きこんで画像として出力したところ
リアルタイムで顔認識を行った結果をカメラの映像に描きこんで画像として出力したところ
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 アットマークテクノは、パシフィコ横浜で開催中の展示会「Embedded Technology 2012」で、インテリジェント・カメラ向けの小型組み込みプラットフォーム「Armadillo-810」を展示した。高性能なプロセサを内蔵しているため、顔認識などの画像処理をリアルタイムで行った結果を出力できるのが特徴。2013年3月に発売する。生産ラインの出荷検査装置、積雪警報装置のカメラ、屋外監視装置やデータ・ロガー、トラックの荷崩れ監視カメラといった用途を想定しているという。

 価格は、CPUボードとカメラ・モジュール、拡張ボードなどをセットにした開発セットが5万2500円。量産にも対応しており、CPUボードとオプションのカメラ・モジュールをセットにした場合、100セット注文時で3万円程度の単価を想定している。

 ボードの寸法は50mm×50mm。カメラ・モジュールのボードとCPUボードは、コネクタを介して縦に積むように接続する。CMOSカメラ・モジュールはシキノハイテック製。CPUボードのプロセサは、ルネサス エレクトロニクスの「R-Mobile A1」。同プロセサは、メインのCPUコアとして792MHz動作のARM Coretex-A9、リアルタイム制御用CPUコアとして594MHz動作のSH-4Aを搭載する。CPUボードには、512MバイトのDDR3-800 SDRAMと64MバイトのNORフラッシュ・メモリが搭載されており、テキスト・データなどを出力するシリアル・ポートと圧縮画像データなどを出力するminiB仕様のUSBコネクタを備える。

 CMOSカメラ・モジュール以外の拡張ボードを載せることも可能だ。同社は、電源ジャックやUSBコネクタ、ボタン電池ホルダなどを搭載したサンプルの拡張ボードの回路図を公開している。これを応用してユーザーが独自の拡張ボードを開発できる。

 OSとして、Linux 3.4ベースの組み込み向けディストリビューション「Atmark Dist」をフラッシュ・メモリにプリインストールしている。開発キットには、沖電気工業の顔認識エンジン「FSE(Face Sensing Engine)」を利用するサンプルのアプリケーション・ソフトウエアが付属する。このソフトウエアを利用することで、認識した顔のフレームをカメラ映像に描き込んだ画像をそのまま出力できる(量産時にFSEを利用するには、沖電気工業のライセンスが必要)。カメラに写った人の数を数えるといったことも可能だ。

 また、JPEGやH.264などのコーデックに対応したミドルウエアも搭載しており、これらの形式のデータをUSB経由で出力できる。USBとEthernetの変換コネクタを利用することで、例えば、H.264形式の撮影動画をインターネット動画サイトに自動的にアップロードするカメラを実現できる。