「FPD International 2012」の2日目、2012年11月1日の午前に筆者が座長を担当した特別セッション「台頭する中国のスマートフォン ~『1000元スマホ』に熱い視線~」(同時開催された「Mobile Technology 2012」との合同セッション)では、中国、台湾からの3人の講師が、中国のスマートフォン市場の現状とセット・メーカーの戦略を語った。

中国における携帯電話市場の情勢変化

 最初に登壇したGfK CHINA、Telecom Senior Research ManagerのKyle Sun氏は、まず2012年の中国におけるスマートフォン市場は、成長率が110%(世界全体では55%)の見込みであり、2億9800万台の大きな市場であることを紹介した。そして、そこには563社のブランド会社が存在し、年間1500機種にのぼる製品が投入されるという。2012年にはスマートフォンが全携帯端末の半数を超え、63%に達すると見込んでいる。

 米Google社のソフトウエア基盤「Android」をベースとした中国国内ブランド会社が急速にシェアを伸ばしており、2012年には合計で64%に達する見込みである。販売方法は、これまではオープン・マーケットで売られる製品が多かったが、通信事業者経由での販売が徐々に増え、2013年には50%を超える見込みである。

 2012年の平均販売価格帯は1792人民元だが、“スーパーローエンド品”では800人民元以下、中には699人民元の製品も出てきており、市場全体の10%程度を占めている。この価格帯の市場成長率は316%(対2011年比)に達しており、これがフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行に拍車をかけているという。さらに販売価格帯を詳しく見ると、800~1500人民元の価格帯が約50%を占める一方で、3500人民元以上のハイエンド品も14%を占め、成長率も61%と比較的大きな伸びを示している。

 海外製品では、以下の3ブランドが存在感を示している。韓国Samsung Electronics社の製品は、2000人民元前後でありながら20%強のシェアを持ち、フィンランドNOKIA社が13%前後のシェアで続いている。米Apple社の「iPhone 4」は、5000人民元弱と高価ではあるが5%弱のシェアを持っており、「iPhone 5」が販売されればシェアはさらに伸びるだろうと見られている。高性能機のインターネット限定販売で注目を浴びた「小米」は、2000人民元強の価格でありながら一定のシェアを獲っている。中国ではインターネット販売も重要な販売ルートであり、市場の10%強を占めるが、小米以外に大きな成功を収めたところはまだない。

 製品のトレンドとしては、大画面を求める傾向が強く、4型以上の画面サイズ品が既に40%を超えている。一方、高精細化に関しては中国では訴求効果は無く、大きな画面の製品を持つことがステータス・シンボルになっているという。そこには、まだ十分なアプリケーションがなく、文字表示を中心とした使い方がまだメインである、という事情もあるようだ。