図1 「WPC 1.1」に準拠する送電IC「bq500410A」
図1 「WPC 1.1」に準拠する送電IC「bq500410A」
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 日本テキサス・インスツルメンツは2012年11月8日、ワイヤレス給電規格「Qi(チー)」に準拠した送電IC「bq500410A」と受電IC「bq51050B」を発表した(ニュース・リリース)。いずれも、Qi規格を策定するWPC(Wireless Power Consortium)が2012年4月に発表した最新仕様「System Description Wireless Power Transfer Volume I: Low Power Part 1: Interface Definition Version 1.1」(以下、WPC 1.1)に準拠する( Tech-On! 関連記事1)。

 Qi規格に準拠した製品は2010年に初めて登場した。現在は対応するスマートフォンの拡充と共に、送電器の設置を中心とする充電インフラの整備を進めている状況にある。今後の見通しについて日本テキサス・インスツルメンツは、「2014年から2015年を契機に、加速度的に市場は伸びていくだろう」(同社)と読む。同社は既に、幾つかのQi規格対応の送電/受電ICを製品化しているが、今回、WPC 1.1に準拠した製品を投入してラインアップを拡充した。

充電範囲を400%拡張


 送電ICであるbq500410Aは、3個の送電コイルを用いて送電可能範囲を広げた「Power Transmitter design A6」に対応する(図1)。同社従来品の「bq500210」「bq500211」では、1個のコイルを用いる方式に対応していた(図2、 Tech-On! 関連記事2 同3)。bq500410Aを用いることで「従来品では18mm角だった狭い充電エリアを、400%も広い70mm×20mmまで拡張できる」(同社)とする。

 bq500410Aを用いた場合のワイヤレス給電の総合効率は約70%。WPC 1.1で追加された異物検知(FOD:Foreign Object Detection)機能も備える。パッケージは7mm×7mmの48ピンQFN。1000個受注時の参考単価は3.18米ドルである。

実装面積を60%縮小


 受電ICであるbq51050Bは、整流回路や通信制御機能などに加えて、Liイオン2次電池の充電機能をワンチップのICに集積した(図3)。同社従来品では電池充電回路を個別のICで実装しており、「bq51050Bを採用することで基板実装面積を、最大で60%縮小できる」(同社)とする(図4、 Tech-On! 関連記事4)。

 入力電圧は最大+20V。パッケージは、1.9mm×3.0mmのWCSP、または4.5mm×3.5mmのQFN。1000個受注時の参考単価は2.75米ドルである。充電電圧は4.2V。充電電圧が4.35Vの「bq51051B」も供給中である。

図2 bq500410Aの他の製品との比較
図2 bq500410Aの他の製品との比較
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図3 「WPC 1.1」に準拠する受電IC「bq51050B」
図3 「WPC 1.1」に準拠する受電IC「bq51050B」
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図4 bq51050Bは、ディスクリート部品で構成する従来品に比べて最大60%の実装面積を縮小できる
図4 bq51050Bは、ディスクリート部品で構成する従来品に比べて最大60%の実装面積を縮小できる
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