NTTドコモの照沼和明氏
NTTドコモの照沼和明氏
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スマートフォンのアプリの制御信号を減らす取り組み
スマートフォンのアプリの制御信号を減らす取り組み
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端末の電池寿命を改善
端末の電池寿命を改善
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 NTTドコモ 移動機開発部長の照沼 和明氏は、2012年10月31日から横浜で開幕した「FPD International 2012 / Mobile Technology 2012」の基調講演に登壇し、同社のスマートフォンの将来技術などについて講演した(同イベントの会期は2012年10月31日~11月2日の3日間で、会場はパシフィコ横浜)。

 同氏は講演で、同社のスマートフォン販売数が年々増加し、昨年には比率で50%を超えたことなどに言及しながら、今後もスマートフォンの販売及び技術開発に注力していく方針を示した。「スマートフォンの販売数は昨年の約880万台から、今年は約1300万台と予想していた。しかし、最近上方修正しており、1400万台という数字が出てきている」(NTTドコモの照沼氏)。加えて今後は、M2M(machine to machine)通信の需要も大幅に増加するとした。

 こうした状況の中で課題となるのが、増大する通信トラフィックへの対策である。照沼氏によれば、現在様々な手法に取り組みながら、トラフィックの混雑解消を目指しているという。講演ではそのうち、1)基地局の設置数の増加、2)スマートフォンの制御信号への工夫、3)無線LANによるオフロードの増強、などを挙げた。

 まず1)に関しては、2012年度末までに、2万3000局のLTEサービス対応基地局を整備するという。それと並行し、今年度中に、112.5Mビット/秒のLTEサービスを開始する予定である。次に2)は、スマートフォンのアプリケーション・ソフトウエア(アプリ)が用いる制御信号の数を減らしたり、制御信号の発生タイミングを分散させる取り組みなどによって対応していく考えだ。例えば、スマートフォンのアプリがリトライを繰り返すことで制御信号が増大するという課題に対して、リトライの回数が増えるごとに送信間隔を広げるなどのコンセプトを導入する。また、アプリの制御信号の発生時間が「12時」や「13時」、「0時」といった特定の時間(絶対時間)に集中するのを避けるため、「絶対時間ではなく相対時間」で制御信号のやりとりを行うようにしたいという。こうした工夫点を「アプリ作成ガイドライン」としてアプリ開発企業に提案したり、ホームページで公開したりしている。3)の無線LANオフロードに関しては、2012年度末までに12万~15万の無線LANスポット開設を目指すとしている。

 講演ではこのほか、端末の電池寿命の改善に向けた取り組みや、OSなどの開発プラットフォームへの考え方、UIMカードなど要素技術への取り組みについても言及した。電池寿命の改善では、今年の冬モデルの端末では、従来よりさらに30%程度電池寿命が改善しているという。また、スマートフォンの充電時間を、現在の2~3時間から、10分程度に大幅に短縮するための技術開発を、他社と共同で進めているという。