決算を発表するルネサスの佐川氏
決算を発表するルネサスの佐川氏
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半導体売上高の内訳
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7446人が早期退職
7446人が早期退職
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生産拠点の統廃合を進める
生産拠点の統廃合を進める
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財務基盤を強化
財務基盤を強化
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主要株主などから計970億円を調達
主要株主などから計970億円を調達
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 ルネサス エレクトロニクスは、2012年度第2四半期(2012年7~9月期)の連結決算を発表した(決算概要)。売上高は前年同期比8.5%減の2228億円、営業損益は同44億円改善して57億円の赤字となった。純損益は早期退職優遇制度の実施により約840億円の特別損失を計上したことなどから、943億円の赤字となった。前期比では、売上高は19%増となり、営業損益は119億円改善した。

 半導体売上高は2053億円となり、前期比では22%伸びた。第1四半期にマイコンなどの減収要因となった情報システム統合の影響が解消したことや、アミューズメント向けSoCの大型案件が牽引したとする。アナログ&パワー半導体についても、アナログICや個別半導体の売り上げが自動車や民生機器向けを中心に伸びたことに加え、液晶ドライバICがスマートフォンの中小型パネル向けを中心に好調だった。

 一方、2012年度下期に関しては「海外向けを中心にリスクが高まっている」(ルネサス エレクトロニクス 執行役員の佐川雅彦氏)。例年、10月はクリスマス商戦向けなどに受注が伸びる時期だが、「ここにきて先行きが厳しい状況が見えつつある。特に、欧州や中国の状況が懸念材料だ」(同氏)という。ただし、2012年度通期(2012年4月~2013年3月期)の連結業績については、同年8月2日に公表した予想を据え置いた。通期売上高は前年比1.7%減の8680億円、営業損益は210億円の黒字を見込んでいる。

 決算発表では(1)人的合理化施策、(2)生産構造対策、(3)財務基盤の強化、の進捗についても説明した。

 (1)については、2012年10月31日を退職日とする早期退職優遇制度を実施し、グループ全体で7446人が応募した。これに伴う特別損失として約840億円を計上し、人件費削減効果は年間約530億円を見込んでいる。退職者は想定していた5千数百人を大きく上回ったが、「事業活動への大きな影響はなく、通期の売上高が大きく落ちることも想定していない」(佐川氏)とする。7446人のうち約65%が生産部門(工場)に関わる人員で、このうち約1000人は統廃合を予定している拠点の従業員だったという。

 (2)については、2013年1月1日付けでルネサスハイコンポーネンツ(青森工場)をアオイ電子に譲渡することが決まるなど、計画通りに進んでいるとした。国内の拠点数/ライン数は現時点で、前工程が9拠点14ライン、後工程が9拠点である。構造対策完了後には、前工程が7拠点9ライン、後工程が2拠点となる予定である。

 (3)については、3段階で改善を図るとした。第1に、2012年10月1日付けで、主要株主3社と主力取引行4社から合計で約970億円の新規資金を調達した。内訳は主要株主3社から計495億円、主力取引行4社から計475億円である。第2に、2012年10月1日までに、主力取引行をアレンジャーとするシンジケートローンによって、1611億円の短期借入金を長期借入金に借り換えた。第3に、今後は新規資金を構造対策費用に充てることで固定費を削減し、営業キャッシュフローを改善していくとする。

 (3)に絡んで、官民共同の出資案が各所で報道されていることに関しては、「当社が発表したものではなく、コメントは差し控えたい」(佐川氏)とした。ルネサスの自己資本比率は2012年9月末時点で13.0%。2012年6月末(24.4%)から10ポイント以上も低下した。「構造対策の推進や営業利益の積み上げによって自己資本を改善したい。それ以外にもいろいろな観点から資本増強策を検討中」(同氏)としている。