日本航空(JAL)は2012年10月22日、KDDIが販売するNFC搭載のスマートフォンを空港の装置にかざすだけで航空機に搭乗できるサービス「JAL タッチ&ゴー」を開始した。NFC搭載の端末でタッチ&ゴー・サービスを開始するのは「日本初」(日本航空)という(3分で分かるNFC基礎講座)。

 JALは2012年9月26日から「おサイフケータイ」(FeliCa)対応のAndroidスマートフォンに対してタッチ&ゴー・サービスを提供している。今回、これに加えて、NFC対応のスマートフォンでも対応した格好だ。今回のタッチ&ゴー・サービスでは、スマートフォンはNFCのカード・エミュレーション・モードとして動作し、外部のリーダー/ライターに対してICカードとして振る舞う。

 NTTドコモもNFC搭載のスマートフォンを販売済み(関連記事1)。それにもかかわらず、今回の発表がKDDIのスマートフォンに限られているのは、NFC用のセキュア・エレメント(SE)を内蔵したSIMカードを提供しているのが、現時点ではKDDIのみだからである。SEには暗号回路やファイル・システム、乱数発生回路、アプリケーション実行環境などが用意されており、高いセキュリティー・レベルを求めるデータを格納できる(関連記事2)。今回のタッチ&ゴー・サービスでは、このSEに「JALマイレージバンク」の会員番号などが保存される。なお、NTTドコモは2013年2月ごろより、NFC用のSEを搭載したSIMカードの提供の開始を始める予定である(関連記事3)。

 スマートフォンがおサイフケータイとNFCの両方に対応する場合は、スマートフォンの本体にあるFeliCaのSEとSIMカード上のNFC用のSEの両方に、会員番号などが記録される。空港にあるリーダー/ライターに、スマートフォンをかざした際におサイフケータイとして動作するか、NFCのICカードとして動作するかは、かざしたタイミングでどちらの通信要求があったかによって決まる。空港に設置されたリーダー/ライターはFeliCaカードに対する読み出し、NFCのICカードに対する読み出しを交互に行うような仕様になっているからである。