図1◎前方の人形を認識して自動ブレーキをかける
図1◎前方の人形を認識して自動ブレーキをかける
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図2◎ステレオカメラを車内から見たところ
図2◎ステレオカメラを車内から見たところ
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図3◎開発中のステレオカメラ(左)
図3◎開発中のステレオカメラ(左)
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 ドイツContinetal社の日本法人であるコンティネンタル・オートモーティブは2012年10月、同社が開発した技術を載せた試作車を公開する「Continental Summer TechRide 2012」を開催、ステレオカメラによる安全技術をデモンストレーションした。

 ステレオカメラを搭載した車両では、歩行者を検知して自動ブレーキによって停止することと、ステアリングを使った自動回避動作をデモした。ステレオカメラは二つのCMOSカメラの間隔が22cmで、これをルームミラー前面のガラス内側に取り付ける。検出できる距離は、単眼で80m、両眼で40m。デモでは速度30km/h程度で人を模擬した人形に接近していき、自動的にブレーキをかけて停止させた。当日は雨の降る悪天候であったため、数回のテストでは人形にわずかに接触することもあった。まだ開発中であるため、環境によって認識率が左右されるという。

 操舵による回避では、人形を認識するとブレーキをかけるのではなく、自動的にステアリングを右に切って人形をよけて、その後また元の走行軌跡に復帰するというデモをした。直進して人形に近づいた際にはステアリングに軽く手を添えておくように指示されたが、人形の直前で瞬時に自動的にステアリングを右に切り、その後すぐに左に切り返して元の進路に戻った。今回は、周りに車両がいないテストコースで実施したため、自動操舵しても問題なかったが、実際には隣の車線を別の車が走行している場合がある。実用化については、後側方の車両を認識するレーダなどと組み合わせて、どの場所に移動しても安全かを判断しながら操舵する必要がある。

 ステレオカメラは自動車メーカーとの開発が進んでおり、量産化の準備を進めている。応用例としては、歩行者検知を含んだ自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告、衝突警報システム、120km/hまでのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)がある。欧州の自動車アセスメントであるEuroNCAPでは2014年から評価項目として自動緊急ブレーキと車線逸脱警告を盛り込み、2016年から歩行者検知を含んだ自動緊急ブレーキを加えることを予定している。Continental社では先のステレオカメラが2016年の規定に対応するという。