スマートフォンにお薬のデータを転送している様子
スマートフォンにお薬のデータを転送している様子
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転送されたお薬データの例
転送されたお薬データの例
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 ソニーは、2012年10月2~6日に幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2012」のデジタルヘルスケアプラザにおいて、「NFC電子版お薬手帳」を展示した。レセプト・コンピュータ(レセコン)から抽出したお薬のデータを、患者が所有するNFC対応(Android)スマートフォンに簡単に転送できるシステムである。同年10月から、石川県能登北部地方の二つの薬局で、同システムを利用した実証実験を開始する予定である。

 今回のシステムは、2012年9月26日に公開されたばかりの、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)よる「電子版お薬手帳データフォーマット仕様書Ver.1.0」に対応した。現状のレセコンはベンダーによって仕様が大きく異なるが、電子版のお薬手帳の普及に向けて、アウトプットするデータのフォーマットを共通化するためのものである。

 ソニーが石川県で実証するシステムでは、三菱電機のレセコンを利用する。このレセコンに外付けしたNFC対応の通信機に、患者がNFC対応のスマートフォンをかざすと、処方されたお薬のデータが転送される。スマートフォン側のアプリケーションは、ソニーが作成した。

 石川県での実証実験に続き、2013年1月には大阪府でも実証予定であるという。ソニーの説明員は、「個人の生体データをスマートフォンなどに蓄積させようとするサービスの開発は数多く進んでいるが、そこに電子版のお薬手帳でたまっていくデータを融合させれば、薬と生体データの関係などの知見を得られる可能性がある。新たなヘルスケア・サービス開発の突破口になる可能性もある」と説明する。