図1◎会場内でデモンストレーションを実施
図1◎会場内でデモンストレーションを実施
[画像のクリックで拡大表示]
図2◎駐車枠に自動駐車
図2◎駐車枠に自動駐車
[画像のクリックで拡大表示]
図3◎スマートホンで車両の周囲の不審者を確認できる
図3◎スマートホンで車両の周囲の不審者を確認できる
[画像のクリックで拡大表示]

 日産自動車は2012年10月2日、自動運転および自動駐車するEV(電気自動車)「NSC-2015」を「CEATEC JAPAN 2012」に出展し、デモンストレーションを実施した。

 EVの「リーフ」をベースとしたNSC-2015は、アラウンドビューモニターの技術を応用し、車両の前後左右に四つのカメラを配置している。このカメラで車両の周囲の環境を認識し、自動運転や自動駐車を実現した。

 今回、実施した主なデモンストレーションは、以下の四つ。まず、会場内の車線や停止線を認識して車線内を自動運転し、停止線で止まること。次に、運転者が降りた後にスマートホンで駐車を指示すると自動的に駐車枠に車庫入れすること。運転者が携帯電話で指示すると駐車枠から出発し、再び運転者の位置に戻ること。最後に、駐車中に不審者が近づいた場合その接近をカメラで検知してスマートホンに連絡し、スマートホンで映像を確認したり、クラクションを鳴らして威嚇できること。

 車両の周囲のカメラは、一般的に使われる30万画素の4倍以上となる130万画素の高精細品を用いた。自動運転では、この四つのカメラの映像をデジタル信号で専用の制御ユニットに送り、この制御ユニットを介してステアリング、ブレーキ、アクセルなどを制御するユニットに指令を送る。自動運転システムではレーダやレーザを使うケースが多いが、今回は速度5km/hまでの低速に限った自動運転、自動駐車であるため、カメラだけでシステムを構成している。

 なお、自動運転のための地図データ(駐車場内の車線、駐車枠)はクラウドシステムから通信でダウンロードし、その地図を元に走行経路を作成し、目的地となる駐車枠に停車する。その際、白線や駐車枠をカメラで検知し、位置を微修正しながら動く。GPSを使った自動運転システムと比べると、GPSの電波を受信できない屋内でも動作する点が特徴という。ただし、CEATECの会場では通信回線が非常に混み合っているため、地図データは車両に持たせてデモした。

 日産は、同システムの用途として、渋滞したショッピングセンターでの自動駐車や非接触給電時の位置合わせなどを想定している。ショッピングセンターでは駐車枠を探したり、待つのに10分程度かかることがある。そこで、運転者が降りてしまっても、クラウドから駐車位置を割り当てて目的地設定することで、自動的に駐車させる仕組みが考えられる。また、非接触給電では、車両側のコイルと値面側のコイルの位置がずれないように駐車する必要がある。アラウンドビューモニターの自動駐車が実現すれば、自宅などでの位置合わせがより正確になる。