ニチイ学館の齊藤正俊社長
ニチイ学館の齊藤正俊社長
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日本マイクロソフトの樋口泰行社長
日本マイクロソフトの樋口泰行社長
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非接触型画像操作システム「Opect」を使った手術の様子(東京女子医科大学)
非接触型画像操作システム「Opect」を使った手術の様子(東京女子医科大学)
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 ニチイ学館と日本マイクロソフトは2012年10月1日、医療機関向け事業の製品開発と販売について業務提携したと発表した。

 両社は、医療機関向けの経営支援サービス、診療支援サービス、地域連携サービスを共同で開発する。開発したサービスは、ニチイ学館が日本マイクロソフトから仕入れ、医療機関などに販売する。ニチイ学館の齊藤正俊社長は、「医療、介護産業のIT化はこれから大きく進む。現状は制度の枠組みの中で効率化を進めている。今後1、2年でさらなるIT化の流れが具体的になってくる」と語り、日本マイクロソフトの樋口泰行社長は「ニチイ学館とともに医療、介護産業のニーズを把握し、ITを軸とした革新を提供したい」と話した。

 経営支援サービスでは、日本マイクロソフトの「SQL Server 2012」「Office365」「Windows Azure」といった製品を活用して、「経営データの見える化」と「業務プロセスの適正化」を狙うサービスを展開する。「見える化」では、データ集約や分析システムを活用した収支分析、分析結果から経営戦略のサポート提案を提供。「適正化」では、院内グループウエア開発とサービスコンテンツの充実、ツール運用に向けたインストラクション、業務改善に向けた提案と事務作業サポートを提供する。

 12月下旬には、医療機関向けのクラウド型グループウエア「メディクラウド」(初期費用31万5000円、基本システム管理費用1万500円/月、クラウドサービス利用料は別途)を発売予定。Office365とWindows Asureを使ったクラウドシステムで、発売当初は標準機能としてメールや院内掲示板、文書管理、Web会議を装備する。発売後に拡充機能として、医薬品検索や患者からの意見収集、診療報酬チェック機能などを装備する。ニチイ学館では、販売開始から2年間で3億円の売り上げを見込んでいるという。

 診療支援サービスでは、「業務の効率化」と「コミュニケーション活性化」を狙ったサービスを展開する。この分野では、日本マイクソフトの「KINECT for Windows」「SharePoint」「Lync2010」を活用する。「効率化」では、負荷軽減ツールの提供と事務サポートによる診療環境の向上支援、看護業務実態調査と業務サポートツールの開発などを提供する。「活性化」では、自宅でのe-ラーニング、院内情報共有化などによる看護師復職支援、タブレットやスマートフォンなど多岐にわたるデバイスを活用したコミュニケーション活性化支援サービスを提供する。

 10月1日から、診療支援サービスの一つとして、手術室向けの非接触型画像操作システム「Opect(オペクト)」(49万8000円)を販売開始。音声認識やモーションセンサーによる操作が可能なKINECTを活用したソフトウエア操作システムで、手術時に執刀医などが術野を離れることなく、どこも触れずに閲覧画像を操作することができる。ニチイ学館では、2年間で3億円の売り上げを見込むとしている。

 地域連携サービスでは、「診療情報の共有化」と「地域のつなぐ化」に向けたサービスを展開する。日本マイクロソフトの「Lync2010」「SharePoint」「Dynamics CRM」などを活用する。「共有化」では、既存のデバイスやデータを活用した医療機関、介護施設、利用者宅間情報連携システムの構築、汎用性の高いシステムによる健康管理システム構築と運用サポートを提供。「つなぐ化」では、施設間連携を専門とした地域連携コーディネーターの育成と業務提供、地域包括ケアシステムの実現に向けたサービスの検討、などを行うという。