ソニーの平井氏(左)とオリンパスの笹氏(右)
ソニーの平井氏(左)とオリンパスの笹氏(右)
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 ソニーとオリンパスは2012年10月1日に催した資本・業務提携に関する記者会見で、医療事業だけでなく、コンパクト・デジタルカメラ事業でも協業を進めていく考えを明らかにした(Tech-On!関連記事)。オリンパスがカメラ用レンズや鏡枠をソニーに供給し、ソニーがイメージ・センサをオリンパスに供給するといった相互供給を行う方針だ。さらに「もっとも早く着手できる取り組みとして、部品の共同購入を検討する」(ソニー 代表執行役 社長兼CEOの平井一夫氏)。これらにより、「製造コストを低減すると共に、魅力ある製品を市場に投入して競争力強化を狙う」(オリンパス 代表取締役社長執行役員の笹宏行氏)という。医療事業およびコンパクト・デジタルカメラ事業での協業に関する、記者会見での主な質疑応答は以下の通り。

─問 オリンパスの笹社長に聞きたい。今回、オリンパスにはさまざまな企業から資本業務提携のオファーがあったと報道されている。最終的にソニーを選んだ理由は何か。また、合意に至るまでにこれだけ長い時間がかかったのはなぜか。(オリンパスの株主のうちの1社で資本・業務提携を持ちかけたとされる)テルモとの関係に変化は生じるか。

笹氏 確かに今回、我々は多くの企業からさまざまなオファーを受けた。それらのオファーを精査するとともに、ソニーとは具体的にかなり突っ込んだ議論をしてきた。そのため合意までに時間がかかった。提携先にソニーを選んだ理由は、医療事業やカメラ事業を含む幅広い分野で、技術に支えられた提携関係を築けると判断したためだ。テルモとの関係には影響がないと考えている。テルモとの協業対象は主に手術の方法や効果などにかかわる領域。画像技術を中心とする今回のソニーとの提携とは異分野だ。

─問 ソニーから出資を受ける500億円の使い道を教えてほしい。

笹氏 約250億円を4K技術や3D技術を生かした医療機器の開発、約150億円を新興国などの医療従事者の教育(トレーニング)センター、残りを合弁会社設立とその事業拡大に充てる。

─問 医療分野でのソニーとの提携範囲を、今後さらに拡大する予定はあるか。

笹氏 提携範囲の拡大については、真剣に検討していきたい。そのためにも、まずは合弁会社で結果を出すことが大切だ。4K技術や3D技術は(オリンパスが高い市場シェアを持つ)消化器向け内視鏡でも必要な技術であり、ここについてソニーの力を借りる可能性はある。

─問 ソニーの平井社長に聞きたい。なぜオリンパスとの提携に踏み切ったのか。

平井氏 我々は医療事業を次の成長の柱の一つとすると、以前から明言してきた。我々にとって内視鏡事業への参入は、これまで手掛けてきた周辺機器事業とは異なる、医療分野への踏み込んだ参入になる。この新分野にソニーが単独で挑戦するかどうかを考えた結果、医療分野で高いレベルの専門性や広い顧客基盤を持つオリンパスとの提携がふさわしいと考えた。

─問 ソニーがイニシアチブをとる(外科用内視鏡を手掛ける)医療分野の合弁会社での第1弾製品は、いつ市場投入する予定か。

平井氏 具体的にはまだ決まっていない。医療機器は商品化までにさまざまな認可が必要であり、市場投入のサイクルは(民生機器に比べて)長い。それでも、オリンパスとソニーの強みをうまく合わせた製品をできるだけ早期に投入したい。

─問 コンパクト・デジタルカメラ事業では、オリンパスとの製品ラインアップの統合も検討するのか。また、レンズ交換式カメラでの協業は予定しているか。

平井氏 2社はカメラ事業において、各社のブランドでそれぞれの強みを持っており、顧客のニーズを考えても製品ラインアップの統合は難しいと思う。レンズ交換式カメラについての協業は現時点では考えていない。