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 オリンパスとソニーは2012年10月1日、同年9月28日に発表した両社の資本・業務提携について記者会見を開催した(関連記事)。ソニー 代表執行役 社長兼CEOの平井一夫氏は、「我々にとっては、将来のコア事業にすることを狙うメディカル事業の強化が、今回の提携の最大の目的だ」と語気を強めて説明。同社は、今回の提携による効果も見込んだ上で、「ソニー・グループとして、2020年に医療事業で2000億円以上の売り上げを目指す」(同氏)ことを掲げた。

 2012年12月に設立するオリンパスとの合弁会社では、この2000億円という売り上げ目標の約1/3を見込む。合弁会社では、ソニーの4K×2Kや3Dといった映像技術、イメージ・センサ技術などを生かした新型の外科用内視鏡や、手術室に向けた医療機器・映像機器の統合システムの開発・設計・販売・製造を手掛ける予定である。合弁会社が手掛ける外科用内視鏡機器とその関連市場については2020年までに3300億円に成長すると同社は見込んでおり、同市場において20%以上のシェア確保を狙う。

 一方、2000億円という売り上げ目標の残りの約2/3は、ソニーがこれまでも手掛けてきた、周辺機器事業(医用モニターやプリンターなど)とライフサイエンス事業(細胞分析装置など)で達成していく考えである。

 合弁会社で開発する新型内視鏡の導入を見込む時期については未定とする。「民生機器と違い、認可などもあるため、長いサイクルで考えている」(ソニーの平井氏)。まずは、3Dや4K×2Kに対応する内視鏡の開発を進めるもようだ。3D対応内視鏡については、まだ世界的にも限られるが、手術現場への導入に対する期待は高まっており、医療機器関連の展示会でも、世界の大手メーカーから試作品が発表されている。

 オリンパスがこれまでも手掛けてきた、泌尿器科や産婦人科などに向けた外科用内視鏡については、合弁会社の事業領域とはせず、オリンパスが独自に展開していくという。「合弁会社では、あくまで従来の内視鏡事業に対して、プラスアルファの次世代部分を手掛ける」(同社 代表取締役社長執行役員の笹宏行氏)。

 なお、「da Vinci」に代表される、内視鏡手術の支援ロボットなどについては、現時点で合弁会社の事業範囲として考えていないという。