2012年4月に開催された経営方針説明会で、平井氏が示したスライド。「新規事業の創出」としてメディカル事業を掲げた。
2012年4月に開催された経営方針説明会で、平井氏が示したスライド。「新規事業の創出」としてメディカル事業を掲げた。
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 日本経済新聞は2012年9月28日付けの朝刊で、「ソニーとオリンパスが資本業務提携することを決め、ソニー主導で内視鏡の新会社を設立する」と報じた。これまでも伝えられていたように、ソニーがオリンパスに対して約500億円を出資することが、いよいよ決定したというものだ。

 この報道に対して、ソニーとオリンパスは共に、「当社が発表したものではなく、現時点で具体的な決定事実はない。開示すべき事項が発生した場合には、すみやかに開示する」とコメントしている。

 ソニーは、2012年4月に始動した新経営体制において、メディカル分野を将来のコア事業の一つにする方針を明確に打ちだしている。同社 社長 兼 CEOの平井一夫氏は、メディカル事業において将来的に1000億円の売り上げを目指す考えを明らかにしており、「ソニーの強みを生かせる企業とのM&Aを積極的に進める」(同氏)としていた。

 ソニーは、メディカル事業として大きく三つの事業を手掛けていく考えを示している。すなわち、(1)周辺機器事業、(2)医療機器B to B事業、(3)ライフサイエンス事業、である。このうち(2)の医療機器B to B事業は、主に医療機器に向けた部品ビジネスを指すものとみられる。イメージ・センサやレンズ、画像処理技術といった同社の得意とする技術を、内視鏡をはじめとする医療機器に生かしていくとした。今回の報道が現実となれば、ソニーにとっては、この(2)の事業の強化につながることになる。

 ソニーは最近では、同社の既存事業で培ってきた技術を活用したメディカル分野の製品を相次いで発表している。例えば、2012年9月には、放送用機器のノウハウや3D技術を生かし、手術用顕微鏡に装着して3D映像を撮影できるHDビデオ・カメラを発表(関連記事1)。同年6月には、Blu-ray Disc技術を生かした二つの細胞分析装置の開発を発表している(関連記事2関連記事3)

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