ソーラーフロンティア 執行役員 技術戦略企画部 部長の櫛屋勝巳氏
ソーラーフロンティア 執行役員 技術戦略企画部 部長の櫛屋勝巳氏
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 CIS系太陽電池の生産規模で、他社を大きく引き離すソーラーフロンティア。国内外のメガソーラーでの採用事例も多い。技術開発でも、変換効率を着実に高めてきた。同社でCIS系太陽電池の開発を率いてきた、執行役員 技術戦略企画部 部長の櫛屋勝巳氏に、CIS系太陽電池の開発状況や今後の戦略を聞いた。

――CIS系太陽電池の変換効率はどこまで高められるでしょうか

 研究開発では、30cm角のサブモジュールで変換効率17.8%を達成している。量産品のモジュール変換効率は13%である。試作では15%程度のモジュールができている。研究開発の成果を工場へ適用することで、製品の変換効率を徐々に高めていきたい(関連記事)。

 モジュール変換効率が13~15%になったことで、多結晶Si型太陽電池モジュールと競合できるレベルになった(関連記事)。ただし市場全体が徐々に単結晶Si型太陽電池にシフトしている。単結晶Si型のモジュール変換効率は16~18%であり、そこと競争できる状況にならなければ勝ち残れない。16%が重要なボーダー・ラインだ。我々も2014年までに16%のCIS系太陽電池を製品化したい。現在の技術を改良して、良好な光吸収層を形成するなどすれば実現できるだろう。

 研究開発では、小面積のセルで変換効率23~25%をターゲットとする。20%を超えるには、大きな技術改良が必要になる。

――生産状況を教えて下さい

 生産能力は国内3工場を合わせて980MWになる。ほぼフル稼働の状況であり、2012年の生産量は600MWを目標にしている。今年の夏は、電力不足の影響で節電要請を受け、生産調整を余儀なくされた。ただしその間も、高効率化に向けて光吸収層の結晶性を高める改良を生産ラインに加えるなど、時間を有効に活用できた。

――海外でのモジュールの採用が多いと聞いています

 2011年の販売比率は、海外が約7割、日本が約3割だった。メガソーラーの設置が進んだ海外では、価格が大きく下がっている。このため今後は、価格が安定している日本の比率を高めていきたい。2012年は、海外4割、日本6割という販売比率になると予測している。

――新しい工場の建設計画はありますか