マツダ執行役員車両開発本部長コスト革新担当補佐の素利孝久氏(右)と車両開発本部車両システム開発部主幹の大村博志氏(左)
[画像のクリックで拡大表示]

 マツダはこのほど、既存の自動車予防安全(アクティブ・セーフティー)技術に「i-ACTIVSENSE」という総称を付け、さまざまな車種に展開する戦略を明らかにした(ニュースリリースTech-On!の関連記事)。同社のアクティブ・セーフティー技術はどのような設計思想に基づいているのか、それを普及価格帯の車種も含めてどう展開していくのかについて、同社執行役員車両開発本部長コスト革新担当補佐の素利孝久氏と車両開発本部車両システム開発部主幹の大村博志氏に聞いた。(聞き手は高野 敦=日経ものづくり)

――既存のアクティブ・セーフティー技術群を「i-ACTIVSENSE」としてまとめた狙いは何か。

素利氏:「走る楽しさ」を訴求するだけでは自動車メーカーとして社会的責任を果たせないと考え、2007年に「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」として「環境」「安全」に力を注いでいく姿勢を鮮明にした。効率を高めた「SKYACTIV」エンジンなどの成果もあって環境の取り組みは知られるようになってきたが、安全に関してはあまり認知度が高くない。

サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言のイメージ

 ここ最近、受動安全(パッシブ・セーフティー)技術だけではなく、アクティブ・セーフティー技術のラインアップもそろってきた。「i-ACTIVSENSE」という名称で訴求し、安全の取り組みも加速させる狙いがある。

――マツダのアクティブ・セーフティー技術の特徴は何か。

素利氏:ドライバーを尊重しつつ、運転状況の正しい認知を支援することが特徴だ。全てをシステムが自動で行うのではなく、ドライバーの危険回避行動を助けるというのが基本的な考え方になる。

 その根底には、「楽しく走る」と「安全に走る」の両立という設計思想がある。システムに頼りきりでは運転を楽しめないし、ドライバーの意図しないところで危険回避を勝手にされるとドライバーは怖いと感じるはずだ。

 とはいえ、人間にはミスもある。衝突を避けられない状況に陥りそうな場合は、それを回避するような制御を行う。

アクティブ・セーフティーに対するマツダの考え方