(その2から続く)
液晶パネルやタッチ・パネル、前面カメラとメイン基板を接続するコネクタの上には、薄い金属のカバーがねじで固定されていた。この部分に限らず、iPhone 5のコネクタは金属カバーで覆われていることが多かった。電磁雑音対策には相当気を使っているようだ。
前面パネルを取り外すと、細長い電池をL字型のメイン基板が覆いかぶさるように位置していた。iPhoneではおなじみの構成である。ただし、左右の配置は逆である。従来のiPhone 4/4Sでは裏蓋を外していたのに対し、iPhone 5では前面パネルを取り外す構造であるためだ。
2次電池とメイン基板を接続するコネクタの上にも金属カバーがねじ留めされていた。このカバーを外し、メイン基板を留めているねじを外して、まずメイン基板を取り出す。電池はバスタブ状の筐体の底面に両面テープで貼り付けられていた。
この両面テープをヘラで慎重にはがし、2次電池を取り出した。iPhone 4Sの電池と比べると、幅は変わっていなかったが、縦が長くなっていた。その代わり、厚さはiPhone 4Sのものよりも薄い。ノギスでラミネート込みの厚さを測ってみると、iPhone 4Sでは3.8mmだったのに対し、iPhone 5では3.3mmになっていた。本体を薄くするために、電池も薄型化しているのだろう。メイン基板と接続するコネクタも、iPhone 4Sのものよりも小型になっていた。
iPhone 5の電池の表面には、容量が「3.8V、5.45Whr、1440mAh」と記述されていた。iPhone 4Sは「3.7V、5.3Whr、1430mAh」なので、わずかに容量が増えている。編集部の電池に詳しい記者によると、電圧が上がっているのは、正極の材料を変更したためだと考えられるという。電池の充電電圧も、iPhone 4Sでは4.2Vなのに対し、iPhone 5では4.3Vに上がっていた。
電池の表面には製造メーカーも記されていた。「天津力神電池」、すなわち中国Lishen社である。中国の4大電池メーカー(ATL社、BAK社、BYD社、Lishen社)のうちの1社だ。ちなみにiPhone 4Sの電池には「東莞新能源科技」と記されていた。これはATL社を意味する。高級スマートフォンでも中国製の電池が当たり前に採用される時代になったことを実感した。
【2012年10月2日追加情報】
ソフトバンクモバイル版のiPhone 5を分解したところ、2次電池はソニー製だった。iPhone 5に向けては、少なくともLishen社とソニーの2社が2次電池を供給していることになる。
(その4に続く)