写真1 「photokina 2012」が開催されるドイツ・ケルン。駅前にはケルンの象徴である大聖堂がある
写真1 「photokina 2012」が開催されるドイツ・ケルン。駅前にはケルンの象徴である大聖堂がある
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 カメラ関連で世界最大級の展示会「photokina 2012」が、ドイツ・ケルンで2012年9月18日(現地時間)に開幕する(写真1)。2年に1度開催されるこの祭典に合わせ、カメラ・メーカー各社は多くの新製品や参考展示を用意しており、商品企画力や技術力を競う。開催は同年9月23日まで。

 主催者であるドイツKoelnmesse社によれば、前回の「photokina 2010」には世界160カ国から18万人以上の来場者が訪れた(写真で振り返るphotokina 2010その1その2)。今回のphotokina 2012は、約40カ国から1200社以上の企業が出展する予定である。開幕を前に、ケルン市内にはカメラ・メーカーの広告をまとったタクシーが走ったりケルン中央駅で写真展が開催されたりと、徐々に熱気と緊張感が街を包み始めている(写真2、3)。

コンパクト・カメラは高級機に活路


 photokina 2012のキーワードの一つが「スマートフォン」だ。スマートフォンの隆盛によってコンパクト型デジタル・カメラの市場は先進国を中心に成長が鈍化している。その対応策として、各社は高級機に活路を見出そうとしている。例えば、ソニーは「35mmフルサイズ」というコンパクト機で異例の大型CMOSイメージ・センサを搭載した「サイバーショットDSC-RX1」を開発した( Tech-On! 関連記事1)。

 大型の撮像素子を搭載するコンパクト機は、前回のphotokina 2010をきっかけに注目を集めた領域である。富士フイルムがAPS-CサイズのCMOSイメージ・センサを備える「FinePix X100」を発表し、その後ヒットを飛ばした( 日経エレクトロニクスの連載記事)。

ミラーレス・カメラが続々


 スマートフォンの影響は、ミラーレス・カメラにも及ぶ。ミラーレス・カメラが産声を上げたのは「photokina 2008」。パナソニックが「DMC-G1」の試用機を展示したりオリンパスが「PEN」のモック・アップを初披露したりした。それから4年の時を経て、ミラーレス・カメラはカシオ計算機を除く大手メーカーの製品が出そろい、市場で大きな存在感を占めす存在になった( Tech-On! 関連記事2)。市場拡大の要因の一つにスマートフォンで写真に興味を持ったユーザーが、高画質を求めてミラーレス・カメラを手にするようになっていることが挙げられる。今回も、複数のメーカーが新製品をこぞって披露する。

 さらに、今回のphotokinaではスマートフォンの写真機能を体験できる「Mobile Imaging」の特別エリアも設ける。来場者がカメラ関連のアプリケーション・ソフトウエア(アプリ)やSNSを体験できるようにするという。

 スマートフォンが従来のデジタル・カメラ市場を活性化させるのか、それとも縮小させるのか――。今回のphotkinaは、カメラ業界の今後を占う上で重要なイベントになりそうだ。

写真2 カメラ・メーカーの広告をまとったタクシーが走る。写真は富士フイルムのミラーレス・カメラ
写真2 カメラ・メーカーの広告をまとったタクシーが走る。写真は富士フイルムのミラーレス・カメラ
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写真3 ケルン中央駅では「World Press Photo」が主催する写真展。カメラマンの手塚耕一郎氏が東日本大震災を記録した写真も展示されていた
写真3 ケルン中央駅では「World Press Photo」が主催する写真展。カメラマンの手塚耕一郎氏が東日本大震災を記録した写真も展示されていた
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