ソニーが、想定実売価格が約25万円と“超高価”なコンパクト型デジタル・カメラを投入する。「35mmフルサイズ」という一眼レフ・カメラでも上位機種のみに搭載しているCMOSイメージ・センサを採用した「サイバーショットDSC-RX1」を発表した。発売は2012年11月16日を予定する。
「今までのデジタル・カメラになかった領域の製品。市場は狭いが高画質を手のひらサイズにするというチャレンジだ。数の出るものではないが、大事に売っていきたい」――。
同年9月12日に都内で開催した新製品発表会で、同社のデジタル・カメラ事業を統括する石塚茂樹氏(同社 業務執行役員SVP デジタルイメージング事業本部 本部長)はDSC-RX1についてこう語った。
高級機は成長市場
同氏によれば、コンパクト型デジタル・カメラの領域は現在、細分化が進んでいる。普及価格帯の市場は金額ベースで大幅な減少傾向にある一方で、高倍率ズーム機や高級機は成長が続いているという。同氏は今後の戦略として、こうした「高付加価値商品群」の強化を掲げる。さらに、CMOSイメージ・センサや光学レンズ、画像処理LSIなど自社で開発できるデバイスを最大限活用して製品の競争力を高めることを狙う。今回発表したDSC-RX1はまさに、ソニーが描く戦略における象徴的な機種と言えそうだ。
DSC-RX1は、有効約2430万画素の35mmフルサイズCMOSイメージ・センサを採用。一般的なコンパクト型デジタル・カメラが搭載する1/2.3型のセンサに比べて約35倍の受光部面積を持つ。DSC-RX1をサイバーショットの最上位機種と位置付け、ブランド力の向上を図る。
一眼もビデオ・カメラも「フルサイズ」
ソニーは、今回開発した35mmフルサイズのCMOSイメージ・センサを他のカメラにも展開する。DSC-RX1と同時に、4年ぶりに35mmフルサイズ・センサを搭載するレンズ交換式一眼カメラの新製品「α99」を発表した。想定実売価格は30万円前後。さらに、レンズ交換式ビデオ・カメラで35mmフルサイズ・センサを初搭載した「ハンディカムNEX-VF900」も投入する。想定実売価格は35万円前後。両機種は、2012年10月26日に発売する予定である。
石塚氏は発表会後の質疑応答において、「成長が著しいカテゴリー」(同氏)であるミラーレス・カメラ「NEXシリーズ」のフルサイズ化に関しても言及。「一眼画質を小型化するというのがNEXのコンセプトのため、今回は見送った。だが、技術的には検討している」とした。