「3DZ Tile Format」による映像のデモ
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通常の「Tile Format」のイメージ
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分割してあたかもタイル状に敷き詰めていることから「Tile Format」と呼んでいる
分割してあたかもタイル状に敷き詰めていることから「Tile Format」と呼んでいる
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創業者で代表のRoberto Dini氏
創業者で代表のRoberto Dini氏
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SES社やQuartarete社がサービスに採用している
SES社やQuartarete社がサービスに採用している
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 イタリアSisvel Technology社は、同社が提唱する3D動画フォーマット「3D Tile Format」の拡張技術を開発、IBC 2012の会場で実際のシステムを披露した。

 3D Tile Formatは、1080p(1920×1080画素)の1フレームに、二つの720p(1280×720画素)フレームの信号を配置する3D動画方式。二つの720pフレームの信号を、水平方向および垂直方向のどちらにも圧縮せずに済むように、画素信号を分割してあたかもタイル状に敷き詰めていることから「Tile Format」と呼んでいる。伝送の際、一つの720pフレーム(仮にLとする)はそのままで、もう一つの720pフレーム(仮にRとする)は三つに分割する。640×720画素の「R1」と、640×360画素の「R2」および「R3」である。Rを三つに分割することで、1080pフレームの余ったスキマに情報を格納できる。

 3D Tile Formatでは、3D放送として送る際に、二つの720pフレーム信号として伝送しているため、通常の2D対応のテレビでは、720pのHD映像として再生できる。放送局は、3D動画番組を放送する際、通常のテレビを所有する視聴者には720pのHD番組として、3D対応テレビを所有する視聴者には3D番組として提供できる。現行の3D放送で主に用いられるサイド・バイ・サイド方式では、水平方向の画素を1/2に圧縮して伝送するため、通常の2DテレビではそのままではHD映像として視聴できず、別の工夫を盛り込む必要があった。「サイド・バイ・サイドでは水平方向に1/2に画素を減らす必要がある。この映像を通常のテレビで再生するとHD表示できない。我々のTile Formatで作成した映像コンテンツであれば、既存のテレビでも3D対応テレビでも、どちらでもHD映像を楽しめる」(Sisvel社 創業者で代表のRoberto Dini氏)。

 ただしこの3D Tile Formatの場合、タイル状に二つの720pフレームを敷き詰めても、360×640画素の不使用領域が存在するという課題があった。そこでSisvel社は、この不使用領域に、裸眼3D映像で利用する深度情報を付加する「3DZ Tile Format」を開発した。これにより、裸眼3Dの映像を再生する際に、飛び出し具合を調整できるようになったという。この技術は、Triaxes社の「Depth Gate」という手法を利用している。IBC 2012の会場ブースで、実際に「3DZ Tile Format」の試作システムを実演した。

 Sisvel社が提唱する「3D Tile Format」は、これまでにルクセンブルクの衛星配信会社であるSES社や、イタリアの地上波テレビ事業者のQuartarete社がサービスに利用している。Sisvel社はさらに利用する放送局を増やし、同フォーマットの利用を拡大したい考えだ。