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 調査会社のBCNは2012年9月11日、デジタル家電の2012年夏商戦の分析結果を発表した。家電量販店などのPOSデータを集計した「BCNランキング」に基づくものである。これによると、テレビやレコーダーに対するロンドン・オリンピックの特需はほとんど見られなかったという。テレビやパソコン本体は総じて低調なのに対し、それらの機器に対する周辺機器やアクセサリの市場は活況を呈しているとする。テレビ用の外付けハードディスクや無線LAN機器などだ。

 同社のアナリストである道越一郎氏は「スポーツ・イベントでの特需は近年はほとんど見られなくなっている」と語る。特に、薄型テレビはエコポイントやアナログ放送終了で需要を先食いしたため、今年の需要の落ち込みに完全に埋没した。北京オリンピックの時期も特需はほとんどなかったが、ロンドン・オリンピックでは、テレビの出荷台数自体が北京オリンピックを下回った。レコーダーの販売も、おおむね北京オリンピックの時期を下回ったという。

 薄型テレビは、売り上げは徐々に戻っているものの、前年比で5割にも満たない状態だ。2012年8月の時点で、台数が前年同月比47.3%、金額が同46.0%である。台数は2008年をやや下回る水準で、「エコポイント前に戻った」(道越氏)状態である。

 台数ベースのメーカー別シェアは、2012年8月の時点で1位がシャープで34.8%、2位がパナソニックで19.5%、3位が東芝で15.4%だった。驚くべきことに、4位につけたのはオリオン電機で7.7%、ソニーは7.3%で5位だった。ソニーの不調が際立っている。

 デジタル・カメラでは、いわゆるミラーレス・カメラの存在感が相変わらず高い。2012年8月時点での、レンズ交換型カメラにおけるミラーレス・カメラの構成比は、台数ベースで47.6%、金額ベースで34.2%だった。ただ、勢いはやや鈍化しているという。好調なのが交換レンズ市場だ。特に、市場が立ち上がり始めているミラーレス・カメラ用交換レンズの伸びが大きいという。