アジアの民族舞踊の4K映像コンテンツを表示した
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遅延時間の短いH.264のデモ。上が元の映像で、下が復号処理後の映像。下の映像はわずかに遅れているが、その遅延は1フレーム内に収まっているという。
遅延時間の短いH.264のデモ。上が元の映像で、下が復号処理後の映像。下の映像はわずかに遅れているが、その遅延は1フレーム内に収まっているという。
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次世代品に関する情報もパネルで展示した
次世代品に関する情報もパネルで展示した
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 NTTは、次世代符号化方式「HEVC(High Efficiency Video Coding)」を使い、4K(3860×2160画素)映像の信号を圧縮するシステムを開発した。

 2012年9月6日からオランダのアムステルダムで開催中の国際放送機器展「IBC 2012」の、NTTグループのブースで実演している。30フレーム/秒の4K映像の信号を、HEVCを使って20Mおよび16M、12Mビット/秒まで圧縮しながら、映像品質が十分高く保てる様子を示した。放送関係者の集まるIBCで披露することで、来場者の関心を探りながら商品展開に活かしていくという。

 HEVCは、圧縮率がH.264/MPEG-4 AVC(H.264)の2倍と高い方式。現在、標準化作業が進んでおり、2013年前半には固まるとみられている。4K映像の圧縮などのほか、高い圧縮率を生かし、スマートフォンなど携帯端末向けHD動画配信での利用も期待されている(NEデジタルの関連記事)。

 会場ブースに設けたディスプレイに、HEVCで圧縮処理を行った4K映像コンテンツを表示した。元の映像信号を非圧縮伝送するには数Gビット/秒の帯域が必要だが、それを数百分の1まで圧縮している。現在のところ、リアルタイムの符号化は困難で、「符号化や復号には、実際の映像の数百倍の時間を費やしている」(ブースの担当者)という。なお同社は、HEVCのエンコーディングの実演を、米ネバダ州ラスベガスで2012年4月に開催された「2012 NAB Show」でも出展している。今回はそれに加え、ソフトウエア・デコーダも出展しており、顧客の反応を探っているという。

 このほか会場では、放送局向けのH.264/MPEG-4 AVC(H.264)のエンコーダおよびデコーダのシステムをNTTエレクトロニクスが出展している。自社開発の符号化/復号LSIを活用することで、符号化/復号にかかる遅延時間を33msに抑えているという。これにより遅延時間を1フレーム内に収められるとしている。今回は音声信号は非圧縮で送っているが、来年春に発売予定の次期製品では、ステレオ音声を含めて圧縮し、33ms以内の遅延で済ませているという。