パナソニックの103型裸眼3Dプラズマ・ディスプレイ
パナソニックの103型裸眼3Dプラズマ・ディスプレイ
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ソニーの偏光方式の84型3Dテレビ
ソニーの偏光方式の84型3Dテレビ
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東芝の55型裸眼3Dテレビ
東芝の55型裸眼3Dテレビ
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 「3次元(3D)」はテレビの普通の機能になり、それだけで大々的にフィーチャーされるものではなくなった。しかし、その陰で着々と新事態が進行していることが、「IFA 2012」を取材して分かった。まず「~はだめだから、やらない」としていたことを逆に採用する例。代表がパナソニックの103型裸眼3Dプラズマ・ディスプレイだ。

 パナソニックは「BD3D規格」の制定過程で、画質を最優先し、画質の劣る偏光方式や裸眼3Dを徹底的に潰した。そうでありながら、まず小型の液晶テレビで偏光方式を採用したのに続き、今回のIFAでは103型の裸眼3Dプラズマ・ディスプレイも出品した。「『パナソニックよおまえもか』のようですが、これまでは『これはダメ、これは良い』とのこだわりがありましたけれども、なかなか3Dが普及しないので、多面作戦で行くことにしました」と、旧知の研究者が言った。

 ベースの画素数は4K×2K。パララックス・バリア方式で8視差である。1視差当たり720pほどの解像度はあるはずだ。あまり立体感を誇張していない映像ということもあり、比較的それなりに見ることができた。

 ソニーも、これまでのフルHDの液晶シャッター方式へのこだわりを捨てて、84型の4K×2K液晶テレビでは、偏光方式に文字通り変更した。もっとも4K×2Kなので、垂直方向の解像度がフルHD分は確保されたことから、偏光方式の採用に踏み切ったという側面も強い。パナソニックとソニーの行動から読めるのは、こだわりを捨てることはとても大事というこだ。

 東芝は、裸眼3Dをしつこく提案している。東芝ブースでは55型の裸眼3Dディスプレイを6台も展示した。「3Dは裸眼で行く」と、強烈に訴えていた。ブース内の商談コーナーでは、4K×2K用の「CEVOエンジン」によって16の視差を作る試みも実演されていた。画質はまだまだだが、「信号処理によって裸眼3Dが可能」という提案は面白い。