ソニーが開催した記者発表会で、衛星による配信システムを紹介した
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ブース入口の脇で、実演している
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SES社のインフラを活用
SES社のインフラを活用
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4K映像の撮影が可能な業務用ビデオ・カメラ「F65」
4K映像の撮影が可能な業務用ビデオ・カメラ「F65」
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4K映像のスタジオ撮影から編集までの一連の流れを示したコーナーを、ブース内に設けている
4K映像のスタジオ撮影から編集までの一連の流れを示したコーナーを、ブース内に設けている
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 ソニーは、4K映像(3840×2160画素)を衛星回線でリアルタイムに配信できるシステムを試作した。2012年9月6日からオランダのアムステルダムで開催中の国際放送機器展「IBC 2012」で、実際の映像を来場者に公開した。4K映像のリアルタイム配信の実演を公開したのは、今回が初めて。

 ルクセンブルクの大手衛星配信会社のSES社と共同で実現した。ルクセンブルクにあるSES社の拠点から、予め編集済みの4K映像コンテンツを、「DVB-S2」のフォーマットで衛星経由で送信した。H.264を使い、4K映像を50Mビット/秒まで圧縮している。「4Kの元の信号から大きく圧縮しながら、4K映像らしい品質を落とさないようにすることに、苦心しながら実現した」(ソニー)。IBCの会場に設置したレシーバで復号し、ソニー製の4K映像対応の84型液晶テレビで表示した。ソニー・ブースの受付脇に設置してあり、来場者の強い関心を集めている。

 ソニーは今回のIBCにおいて、4K映像の制作環境の提供を大きくアピールしている。4K撮影できる業務用ビデオカメラ「F65」による映像制作の一連の流れを会場で示したほか、同カメラで用いる映像記録フォーマットの「SRMASTER」(F65 RAW)が、Autodesk社の製品群に採用されたことを明らかにした。Autodesk社の映像制作ツールは、ハリウッドの制作現場などで広く用いられているという。「4K撮影が可能なカメラ「F65」は世界で導入が進み、30本以上のメジャーな映画コンテンツの撮影に利用されている。映画館でも、ソニー製の上映システムが多数使われている。4K対応テレビもある。あとは、いかにして家庭に届けるか、ということだ」(ソニーの担当者)。IFA 2012(ドイツ・ベルリン)で発表した4K映像対応のテレビとあわせ、4Kコンテンツを家庭に届けるための環境づくりに取り組む姿勢を強調した。

 今回見せた4K映像のリアルタイム配信システムでは、H.264の圧縮により50Mビット/秒としているが、将来的にはさらに圧縮率を高め、10M~20Mビット/秒で伝送することを目指すという。衛星回線においては、一つのトランスポンダで2チャンネル伝送を可能にしていくとする。適用する符号化方式としては、次世代の動画圧縮技術である「HEVC(High Efficiency Video Coding」に期待する。HEVCを使って、H.264の2倍の圧縮率を実現することを狙っている。ソニーは、フォーマットの標準化動向も見ながら、対応していく考えだ。