(その4から続く)
ステレオ・アンプ基板の下にようやくメイン基板があった。基板の下側の面は、電磁雑音対策用の大きな金属カバーに覆われている。
金属カバーの下に各種の電子部品が実装されていた。Google社は、Nexus Qのアプリケーション・プロセサとしてTI社の「OMAP4460」を採用していることを明らかにしている。同社のスマートフォン「Galaxy Nexus」も搭載しているプロセサだ。
そこで基板上に「OMAP4460」と記されたLSIがないか探してみた。しかし、見当たらない。どうやらDRAMとパッケージ・オン・パッケージ(PoP)で実装されているようだ。
アプリケーション・プロセサとDRAMのパッケージの上には、熱伝導性シートが載せられ、金属カバーに熱を逃がすようになっていた。さらに金属カバーと下部の半球の間にも熱伝導性シートがあった。下部の半球は金属の塊であり、最終的にここに熱を逃がすようになっている。
Nexus Qはさまざまな点に開発者のこだわりが感じられる製品だ。例えば、音量ダイヤルの半球は樹脂製で、本体の下半球は金属製だが、つや消しの黒で塗装することで、同じような質感を実現している。
問題は、そうした“こだわり”がどんなユーザーに向けたものなのかがよく分からない点だ。意地悪な見方をすれば、開発者が“自分の趣味に合ったガジェット”を開発したかっただけのように見える。発売が無期延期になってしまったのもうなずける話だ。