左からHeliatek社CTOのMartin Pfeiffer氏、同社CEOのThibaud Le Seguillon氏。手にしているモジュールは最新の試作品。
左からHeliatek社CTOのMartin Pfeiffer氏、同社CEOのThibaud Le Seguillon氏。手にしているモジュールは最新の試作品。
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「これが窓の代わりになる」と半透明のモジュールを手にするLe Seguillon氏。
「これが窓の代わりになる」と半透明のモジュールを手にするLe Seguillon氏。
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 有機薄膜太陽電池(OPV)メーカーのドイツHeliatek社はこの2~3年、OPVの変換効率向上で三菱化学などとデッドヒートを繰り広げている。例えば、Heliatek社は2012年4月に面積1.1cm2の太陽電池セルが、当時の世界最高となる変換効率10.7%を達成したと発表した(関連記事)。対する三菱化学は同5月に変換効率11.0%のセルを発表した、といった具合である(関連記事)。

 わずか3年前の2009年時点では、OPVは変換効率が6%を超えただけでニュースになっていた(関連記事)。OPV技術の進歩の速さは、太陽電池全体の中でもトップクラスになっている。

 一方で明るい話ばかりではない。OPVの実用化で先行していた米Konarka Technologies社は2012年6月に倒産した(関連記事)。現在、太陽電池には過剰生産という強い逆風が吹いているが、変換効率がまだ低いOPVは、世界中のFIT(feed-in tariffs)など助成策で湧く太陽光発電ブームに乗ることさえできず、市場開拓に苦しんでいる。

 そうした中、Heliatek社は最近になって、OPVの量産技術をほぼ開発し、近い将来に年産70MW超という規模で量産を開始する計画を発表した。どのような戦略、勝算をもって今の逆風に立ち向かうのか。Konarka社の轍を再び踏む恐れはないのか。今後、OPVにはどのような可能性があると考えているのか。8月末に来日したHeliatek社CEOのThibaud Le Seguillon氏と、同社CTO Martin Pfeiffer氏に話を聞いた。

――Konarka社の倒産をどう考えるか。Heliatek社は、Konarka社とどう違うのか。