ドイツMesse Berlin社でIFAグローバル統轄本部長を務めるJens Heitecker氏
ドイツMesse Berlin社でIFAグローバル統轄本部長を務めるJens Heitecker氏
[画像のクリックで拡大表示]
Jens Heitecker氏と筆者
Jens Heitecker氏と筆者
[画像のクリックで拡大表示]
建設中の新ホール
建設中の新ホール
[画像のクリックで拡大表示]
IFA2012のイメージポスター
IFA2012のイメージポスター
[画像のクリックで拡大表示]
新ホールの完成予想図
新ホールの完成予想図
[画像のクリックで拡大表示]

 8月31日から9月5日まで、ベルリン・メッセ会場で開催されている家電の祭典「IFA 2012」について、ドイツMesse Berlin社でIFAグローバル統轄本部長を務めるJens Heitecker氏に、筆者がインタビューした。

――今年は欧州の金融危機の中で開催されているIFAですが、来場者の状況はどうでしょうか。

 確かにある部分は、欧州はダメージを受けています。しかし、スウェーデンやドイツ、アイルランド、フランスなどは堅調に成長を続けています。なによりIFA自体がグローバル化していることの要因が大きいと思います。来場者は昨年に比べ5%は確実に伸びると見ています。欧州以外からの来場者がここに来て格段に増えているからです。昨年は1441社の展示会社、23万9000人の来場者があり、世界中からメディア関係者が2181人も訪れ、48億米ドルの成約がなされました。トレードビジター(メーカー関係、ディーラー関係など)全体の数は、2010年の11万9307人から、2011年には13万2998人に増えました。注目すべきは、欧州以外からのトレードビジターの数です。2010年の2万4656人が、2011年には3万8569人に大幅に増えているのです。この傾向は今年さらに加速しています。

――なぜ、欧州以外からのトレードビジターが増えているのですか。

 われわれはずっと、IFAを欧州ローカルではなくグローバルな見本市にしようと努力してきました。世界のメーカーにしてみれば、ここに来れば最新商品を世界中のディーラーにお見せできる。ディーラーにとってみれば、その逆です。そのような場にしようとさまざまな施策を取ってきたことが効いていると見ています。トレードビジターのディーラーさんへのパッケージ・ツアーの開発など、その一例です。中でも、日本からのトレードビジターはここに来て増えています。2010年から2011年で80%も増え、700人以上でした。今年は日本の大手家電ディーラーが、視察のために数十人の社員を送りこんでいます。

――絶好調ですが、スペース不足も指摘されます。

 2年続けてオーバーブッキングです。もう満杯なので、屋外ステージの横にホールを設けたり、これまで使っていなかった場所を提供することにしています。出展面積は昨年を1.4%上回る14万2200m2まで拡大させました。2014年に新ホールが完成するまでは、なんとかマネジメントして乗り切りたいと思います。

――新ホールはどのような使い方を考えていますか。

 すでに現在でも米DisplaySearch社のようにIFAの場所を会議に使う例がありますが、新ホールはコンベンション用途に使いたいと思います。

――なるほど。「CES」(1月に米国で開催される家電見本市)との違いはコンベンションでした。IFAはメーカーとバイヤーの商談の場所とされており、あまりコンベンションはありません。これからは変わっていきますね。ところで日本メーカーをどう見ていますか。

 日本の会社には二つの種類があります。一つは、ソニー、パナソニック、セイコーエプソンのように非常にイノベイティブなメーカー。もう一つが、日本的な殻に閉じこもった保守的なところ。私は、前者の会社には全幅の信頼を置いていますが、後者の会社にはぜひIFAで世界の動きを積極的に感じてほしいと思っています。

――昨年インタビューした時には「これからは量から質へ」だとおっしゃっていました。今年のIFAでは、「質」はどう改善されたのでしょうか。

 良い質問ですね。改善は肌で感じています。中国からの出展者のブースの質は格段に上がりましたし、トレードビジターのクオリティも総合的に上がったと思います。