タッチ・パネル分野中心に争う

 Apple社がSamsung社による侵害を訴えた特許は、Apple社の得意分野に集中している。筆頭技術分野を「タッチ・パネル」(USPCの345/173)とするものが4件、GUIなどの操作用インタフェースに関係するものが4件である(表1)。こちらも2007~2008年に出願したものが多い。

表1 Apple社が米国の訴訟でSamsung社による侵害を訴えている米国特許の一覧
「パテントスコア」と「レイティング」には、パテント・リザルトによる評価を示した。技術分野は、USPC(米国特許分類)の階層的な分類を示している。2011年12月時点のデータであり、この後、訴訟の対象となる特許は絞られた。
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 独自の特許分析ツールを手掛けるパテント・リザルトの評価では、「タッチ・スクリーン・ディスプレイ上でのリストのスクローリングとドキュメントの移動・スケーリング・回転」(米国特許番号:7,469,381)と題した特許が群を抜いて高い評価を得ている注3)。この特許は、タッチ・パネル搭載型ディスプレイで一方向にスクロールするようにリストやドキュメントを表示し、ユーザーが終端を越えてスクロールすると、手を離した後に本来の終端まで引っ張られるように戻る表示の仕方を示したものである。

 この他にもApple社は、「構造的な電子ドキュメントを表示するための携帯型電子機器、方法、GUI」(米国特許番号:7,864,163)や「複数点タッチスクリーン」(同:7,663,607)、「スクロール処理のためのAPI」(同:7,844,915)といった、評価が高い特許を並べている。


USPC=米国特許分類。米国では、この分類のどれに当てはまるかを1個以上選択して出願する。


注3)パテント・リザルトのパテントスコアは、長期にわたって維持される特許に起こりがちな活動(例えば米国特許では他者からの再審査請求、他者へのライセンス提供など)がどの程度起こったかを調べ、それを基に得点を算出し、偏差値で示したものである。「権利者にとってどのくらい長く維持したい特許なのか」を表すといえる。