互いに譲れないスマホ市場

 スマートフォン市場を創りだしたといっても過言ではないApple社は、例えば2011年9月24日までの3カ月間の会計四半期に「iPhone」およびiPadの事業で合計193億米ドルを売り上げた。その期間の出荷台数は、iPhone製品群が2034万台、iPad製品群が925万台である。この2事業が、Apple社の売上高の67.8%を占めるまでに成長した。

 Samsung社にとっても、スマートフォンやタブレット端末の事業の重要性が増している。同社は携帯電話機や通信機器を含めた「Telecommunication」事業において、2011年7~9月の会計四半期に前年同期比37%増となる14.9兆ウォン(1米ドル=1146.8ウォン換算で約130億米ドル)の売り上げを稼ぎ出した。スマートフォンの販売が前年同期比300%増と大幅に拡大したことが貢献し、同事業の営業利益は同6.2%増の2.5兆ウォン(同約22億米ドル)だった。売上高と営業利益ともに、Samsung社で最大の事業になっている。

 訴訟の前まで、Apple社とSamsung社は蜜月関係にあるとみられていた。Samsung社がiPhoneやiPadなどの製品群にアプリケーション・プロセサやDRAM、フラッシュ・メモリなどの主要部品を納めてきたからだ。その一方でSamsung社には、米Google社との協力関係が深く、「Android」を使ったスマートフォン・メーカーの中で最も好調な1社という側面もある。Apple社は、部品調達における良好な関係を壊すリスクを取ってでも、スマートフォンやタブレット端末市場でのSamsung社の勢いを削ぎたいと考えたのだろう。Apple社にとってもSamsung社にとっても、譲れない市場なのだ。