米Apple社と韓国Samsung社の知的財産権侵害に関する訴訟合戦を世界各国で繰り広げている。『日経エレクトロニクス』では、この訴訟を詳しく分析してきた(2011年12月26日号解説2「Apple対Samsung、訴訟合戦の先にあるもの」、2012年5月14日号クローズアップ「AppleとSamsungのスマホ特許訴訟、和解に向けた協議開催で合意」など)。同誌記事のうち「Apple対Samsung、訴訟合戦の先にあるもの」から一部を抜粋、今回の訴訟合戦の経緯と、争点となっている一連の特許を紹介する。


 スマートフォンやタブレット端末における知的財産権の侵害で、米Apple社と韓国Samsung Electronics社が激しい訴訟合戦を繰り広げている。始まりは2011年4月だった。Apple社が米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に、Samsung社がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでApple社の知的財産権を侵害したとして提訴したのだ。

 訴状には、Samsung社に対する痛烈な批判が並ぶ。例えば「SamsungのGalaxy製品群における、Appleの知的財産権の目に余る(flagrant)容赦のない(relentless)コピーは、Appleの投資からSamsungが利益を得るのを許すことになる。その上、Appleのトレード・ドレスやアイコン商標の強さを希薄化し、Appleがこれまでの製品で培ってきたブランド価値を貶める恐れがある」─といった具合だ注1)。侵害をやめるよう働きかけたが受け入れられないため、訴訟に踏み切るしかなかったとApple社は説明している。


トレード・ドレス=米国の判例で認められている知的財産権。色や形、包装などによる、その製品やブランド独特のイメージのこと。


注1)2011年6月にApple社が提出した修正版の訴状から引用した。