10kmなのに「71km?」

 LEAFの走りは、本当に快適である。ガソリン車と違ってボタンを押したらモータはすぐに起動し、ほとんど無音の状態で走り出す。LEAFに乗った知人は、「これはスムーズ過ぎる」という感想を漏らしたが、この表現は適切だと思う。

 やはり最大の問題は「走行距離」である。私がLEAFを購入したことを知人に話す度に聞かれるのは、「どのぐらいの距離を走れるか」である。でも、その答えは正直、「場合によって」である。米EPA(環境保護庁)は、LEAFの1回の充電での走行距離を117kmと評価している。私を含めて米国の所有者の多くは、これを妥当と評価している。

 筆者は移動に高速道路をよく使う。当然、速度が上がるほど消費電力は大きくなる。エアコンの利用も、消費電力を増加させる。中でも、最も注意しなければならないのは坂道だ。例えば、自宅の近所の急坂を上ったら、10km走っただけなのに、残りの走行可能距離はなんと「71km」も減ってしまったことがある。坂道が多い地域にEVは不向きのようだ。

 日産自動車は、電池のサイクル寿命への悪影響を減らすため、容量の最大80%までの充電を推奨している。このことも、所有者にとっては走行距離をより気になる要因にしている。筆者は最近、高速道路を使った方がより早い場合でも、一般道を選択することがある。

充電設備を見つけにくい

 こうした走行距離の問題を解消するため、政府や自動車業界などは充電設備の普及に力を入れている。とりわけ、環境保護に対する意識が高いシリコンバレー近辺では、充電設備の開設が相次いでいる。例えば、米Cisco Systems社や米Google社、米Marvell Technology社はそれぞれ、EVの充電設備を駐車場に設置している。また、充電設備メーカーの米Coulomb Technologies社は、同設備の設置情報を掲載したWebサイトを運営している(図2)。

図2 近くの充電設備の情報を提供
LEAFには、現在位置や目的地の近くに存在する充電設備を検索する機能がある(a)。Coulomb Technologies社は、充電設備を地図上に表示するWebサイトを運営している(b)。
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 しかし、現状ではLEAFのカーナビ・システムに登録されている充電設備の情報は少ないし、実際に充電設備を出先で見つけるのは容易ではない。従って、私はこれまで、自宅以外で充電したことがない。