バックアップ回路の可能性も

 メイン基板には、複数のマイコンが実装されていた(図3)。特徴的なのが、日本メーカー製のマイコンが多用されていること。ルネサス エレクトロニクスの16ビット品と、NECエレクトロニクスの製品である注2)。この他、欧米メーカー品では、米Atmel社の8ビット品、オランダNXP Semiconductors社の液晶ドライバICなどが利用されていた。

注2) 本稿記載のメーカー名は、メーター発売当時のものであり、現在は企業名が変更しているものを含む。

図3 ルネサスなどのマイコンを利用
メイン基板には、ルネサス エレクトロニクスやAtmel社などのマイコンが実装されていた。
[画像のクリックで拡大表示]

 もう一つの特徴が、似通った回路ブロックを二つ備えていることだ。ルネサスとNECのマイコンをそれぞれ中心として、米PDI社の水晶振動子や、各種の雑音対策部品など、ほぼそっくりな回路が二つ存在している。これについては、「10年間といった長期間利用する機器であるため、バックアップ回路の役割を持たせているのではないか」(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ ディレクターの柏尾南壮氏)との指摘がある。何らかの不具合が生じた場合には、もう一つの回路ブロックで処理を継続するために、冗長性を持たせているというものだ。

日本メーカー品が多い理由

 この他、メーター内部には、円筒形のLiイオン2次電池が2本、組み込まれていた。ノート・パソコンなどで利用する、直径18mmで高さ65mmのいわゆる「18650」形状ではなく、日本の単3乾電池に近い形状である。これを使うことで、何らかの理由で電源供給が遮断した場合に、回路動作を継続させる仕組みのようだ。

 この他、ニチコンのAl電解コンデンサなど、日本メーカーの部品の多用が目立った。これについてフォーマルハウトの柏尾氏は、「長期間利用する産業機器ということで、長期信頼性の高い日本の部品メーカーが選ばれているのではないか」と指摘する。同社は、これら基板や構成部品を合わせた部材コストを、5551.32円と推定する。