決算会見の様子
決算会見の様子
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 「一言でいうと、厳しいものがあった」---。三菱電機は2012年度第1四半期(4~6月期)の連結決算結果を発表した。売上高は前年同期比4%減の7827億円、営業利益は同11%減の465億円だった。減収要因となったのは、産業メカトロニクス部門、電子デバイス部門および家庭電器部門の売上高減少である。減益の要因についても、産業メカトロニクス部門、電子デバイス部門および家庭電器部門の利益減少だった。同四半期における同社の経営環境は、日本や米国の景気が底堅く推移した一方で、欧州およびアジアでの景気減速や対米ドル・対ユーロにおける円高定着など、総じて悪化したという。

 セグメント別の状況は以下の通りである。重電システム部門では、売上高が前年同期比6%増の2050億円、営業利益が同38億円増の183億円だった。このうち、社会インフラ事業は、海外交通事業の大口案件の減少や、前年度第1四半期に東日本大震災に伴う復旧需要があった影響などにより、受注は前年同期を下回ったが、国内・海外電力事業の増加により、売上高は前年同期を上回った。

 産業メカトロニクス部門では、売上高が同4%減の2240億円、営業利益は同67億円減の211億円だった。FAシステム事業が、中国・韓国・台湾の半導体やフラットパネル・ディスプレイ関連の設備投資需要の減少などにより、受注・売上高ともに前年同期を下回った。自動車機器事業は、西欧市場の新車販売不振が続いているものの、国内市場のエコカー補助金制度による下支えや、北米市場の回復、新興国市場の拡大により、受注・売上高とも前年同期を上回った。

 情報通信システム部門では、売上高が同10%増の944億円、営業利益が同11億円改善の7億円となった。通信事業は、通信インフラ機器の需要増加により、受注・売上高ともに前年同期を上回った。情報システム・サービス事業は、システム・インテグレーション事業の伸長により、売上高は前年同期を上回った。

 電子デバイス部門では、売上高が同22%減の390億円、営業利益が同24億円減の0億円となった。半導体事業が、産業用・民生用・電鉄用パワー半導体の需要減少により、受注・売上高とも前年同期を下回った。

 家庭電器部門は、売上高が同11%減の2058億円、営業利益が同17億円減の129億円となった。前年度第1四半期に国内向け液晶テレビなどでアナログ放送終了前の駆け込み需要があった影響などにより減収となった。減益の要因は売上減少などである。

 なお、同社が株主となっているルネサス エレクトロニクスへの支援の内容が正式に決まったことも報告した。「ルネサスおよびルネサスのメインバンクから強い要請があった。これに対して、出資比率に応じた金額(145億円)を融資することを決めた。融資は2012年10月1日に実行する予定である」(三菱電機)。出資ではなく融資とすることを決めた理由について、三菱電機は「融資した金額を将来しっかりと返済してもらうためだ。返済義務を負ってもらうことで、ルネサスに厳しい経営改革を実施してもらう」と述べた。