SystemCの複数のユーザーが講演する「SystemC Japan 2012」が米Accellera Systems Initiativeの主催で、2012年7月6日に新横浜で開催された。今年も大盛況で申込者数は400名を超え、参加者も300名を超えた模様。

例年通り満員の会場 Tech\-On!が撮影。
例年通り満員の会場
Tech-On!が撮影。
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図1●開発上流でシステム検証 富士通セミコンダクターのスライドで、中央の「上流設計手法」が2009年の発表内容。今回は左端の「新・上流設計手法」。
図1●開発上流でシステム検証
富士通セミコンダクターのスライドで、中央の「上流設計手法」が2009年の発表内容。今回は左端の「新・上流設計手法」。
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図2●先行ソフトウェアで、アーキテクチャ評価 富士通セミコンダクターのスライド。
図2●先行ソフトウェアで、アーキテクチャ評価
富士通セミコンダクターのスライド。
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 SystemC Japanは今回で7回目。筆者はかなりの回数、SystemC Japanを聴講してきたが、今回、SystemCの利用が新しい段階に入ってきたことを感じた。SystemCの主な用途や効用は、(1)SystmeC入力の高位合成ツールを使って入力(設計)工数を削減する。(2)SystemCを使って設計の抽象度を挙げて、RTL(register transfer level)よりも検証時間を短縮する。(3)SystemCを使ってハードウェアの仮想プロトタイプを作成して、ソフトウェア開発の開始時期を前倒しする、である。これまでは、SystemCをこのように使って成果を上げたというユーザー講演が大半だった。

さらに上流へ

 今回は、こうした伝統的な使い方の応用編や変化球編と感じられる講演が目に付いた。例えば、富士通セミコンダクターの佐藤信之氏(開発本部 SoCソリューション統括部 第一設計技術部)は、2009年のSystemC Japanの講演で紹介したSystemCベースの上流設計環境よりもさらに上流をカバーする新環境を見せた(図1)。2009年の環境は、上述の「(3)SystemCを使ってハードウェアの仮想プロトタイプを作成して、ソフトウェア開発の開始時期を前倒しする」を狙っていた。

 これはこれで意味があるものの、システム・レベルの性能評価はハードウェアがRTLになってから行うために、問題が発生したときの手戻りをもっと小さくすべきという課題があった。そこで、今回、ユース・ケースに相当するソフトウェアを開発し、それでシステムやハードウェアのアーキクチャを評価・最適化するようにした(図2)。システム・レベル評価が開発の早い段階で実行可能になった。佐藤氏は、新環境の適用事例として、画像処理LSIのアーキテクチャ評価を見せた。