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 材料・素材は日本のお家芸---こうした常識はそろそろ過去のものとなりつつあるのかもしれない。近年の海外材料メーカーの技術力の向上、工場の海外シフト、著しい円高などを背景に、海外製の材料を採用するケースが増えているようだ。「日経ものづくり」が実施している海外材料の活用について調査の調査結果から、その実態を見てみよう

* 「日経ものづくりNews」および「Tech-On!通信」の読者を対象に、アンケートURLを告知することでWebサイト上で回答を依頼して実施しています。本稿執筆時点での回答者数は292です。ご回答いただいた方はありがとうございました。まだご回答いただいていない方は何卒ご協力賜りますようお願い申し上げます。
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 実際、材料・素材でも日本製から海外製への切り替えは進んでいる。「ここ5年の間に材料・素材で日本メーカーから海外メーカーに切り替えたものはあるか」との問いに対しては、58.9%が「ある」と回答(図1)。材料・素材分野での海外勢の勢いが増している様子がうかがえる。はっきりと「ない」との回答は3割弱にとどまった。

 切り替えの理由はやはり「安価だったから」というものが圧倒的に多く、図1で「ある」と回答した人の8割以上がこの理由を挙げている(図2)。その他で比較的多かった回答は、「生産拠点で調達しやすかったから」(31.4%)、「海外での現地調達率を上げる必要があったから」(22.7%)、「複数購買で調達リスクを下げたかったから」(17.4%)といったもので、現地調達に伴うものだった。

 では、そうした材料は単に安いだけなのか。図1で「ある」との回答者に「その材料・素材はどんな役割を果たしているか」を聞いたところ、「設計やコスト次第では他に置き換えられる」が52.9%と過半数を占めたものの、「機能の実現に欠かせない」との回答も43.0%に上った(図3)。海外材料・素材が必ずしも重要度の低い部品や部材に使われているとは限らず、かつての「安かろう悪かろう」というイメージとは違い、なくてはならないものになってきている状況がうかがえる。

 このことは、品質について聞いた質問の結果からも読み取れる。「切り替えた・切り替わった材料・素材の品質をどう評価しているか」と聞いたところ、6.4%が「従来品よりも優れている」、52.3%が「従来品と同等」と回答しており、合計すると6割近くが品質面でも一定の評価を得ていることが分かった(図4)。

 地道で開発に時間が掛かり、日本のお家芸とされてきた材料・素材分野だが、いつまでも日本の独壇場というわけではない。ただし、一方で図4に見られるように、切り替え後の海外製材料の品質が「従来品よりも劣る」という場合も少なくない。

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