上海駅前にある「不夜城商厦」。金ピカの外観がいかにも不夜城という感じ
上海駅前にある「不夜城商厦」。金ピカの外観がいかにも不夜城という感じ
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どの店も品ぞろえはHTC社とSamsung社のAndroidスマートフォンが中心
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不夜城のiPhone取り扱い店のショーケース
不夜城のiPhone取り扱い店のショーケース
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SIMカードのショップには電話番号の一覧がこれでもかと貼り出されている
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浦東地区にある電脳ビル「太平洋数碼三期」
浦東地区にある電脳ビル「太平洋数碼三期」
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浦東地区のもう一つの電脳ビル「百脳匯」
浦東地区のもう一つの電脳ビル「百脳匯」
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百脳匯の中にあったOPPO社のショップ
百脳匯の中にあったOPPO社のショップ
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 「どの店も台湾HTC社と韓国Samsung Electronics社のスマートフォンだらけだな」。中国・上海で開催された「2012 Mobile Asia Expo」に参加するため上海に出張したのを機に、上海駅前にある「不夜城商厦」(以下、不夜城)に行ってみた。上海市民が携帯電話機を選ぶ際に一度は訪れるという“ケータイの聖地”だ。

 建物の中には、携帯電話機を扱う小さい店舗がぎっしり並ぶ。秋葉原にある電子部品の専門店ビル「東京ラジオデパート」を大規模にしたような感じだ。個人的には、2010年に訪れた台湾・台北の「光華商場」の雰囲気にも似ていると感じた。金曜日の昼間にもかかわらず、来場客で結構混んでおり、独特の活気がある。

 不夜城と言えば、何と言っても無認可の携帯電話機である「山寨機」で有名だ。1階には大手メーカーのAndroidスマートフォンを取り扱う店が多かったが、上の階には山寨機があふれているはず。そうした期待はきれいに裏切られた。

 最上階の6階まで回ってみたが、どの店もHTC社とSamsung社のAndriodスマートフォンばかり。店によっては、英Sony Ericsson Mobile Communications社(現Sony Mobile Communications社)の製品がそれに加わり、たまに米Motorola Mobility社の製品や、Coolpad社やK-Touch社といった中国の地場メーカーの製品が混じる。各店舗の品ぞろえがあまりに似通っているので、「こんなに多くの店がある必要があるのか?」と思ってしまった。

 フロア別だと、4階はSIMカードを取り扱う店が多かった。中国ではプリペイドSIMが一般的なためだ。iPhoneを取り扱う店は5階に比較的多かった。ただ全体からすると、iPhoneよりもAndroid機の方が不夜城では圧倒的に多い。

 山寨機を扱う店も数軒は残っていた。ショーケースの中に大量の部品が並べられている。ただ、お客はほとんどおらず、不夜城の風物詩だった、山寨機を組み立てている店員の姿もない。何より、来場客が大画面のスマートフォンしか使っていない。フィーチャーフォンらしきものを使っている来場客は一人も見かけなかった。

 中国の事情に詳しい携帯電話研究家の山根康宏氏によると「山寨機は急激に減っている」のだという。理由はスマートフォンの低価格化だ。大手メーカー製でありながら、1000人民元程度で入手でき、しかも2年間のキャッシュバックで実質ゼロ元になる「1000元スマホ」が中国では急速に普及しつつある(Tech-On!の関連記事)。山寨機メーカーも最近はAndroidスマートフォンを出しているとのことだが、価格が1500~2000元程度するため、山寨機のメリットが全くなくなっている。

 要するに、中国人も偽物が好きなわけではなかったのだ。本物が手に入らなかったり極端に高価だったから、偽物で我慢していただけだった。本物が手に入るようになったのに、わざわざ偽物を求める人はいない。

女性ユーザーに人気のOPPO

 上海の電気街での状況はどうなのだろうか。そう思い、浦東地区の二つの電脳ビル「太平洋数碼三期」と「百脳匯」も回ってみた。いずれも、スマートフォンだけでなく、ノート・パソコンやパソコン部品、デジタル・カメラなども取り扱っている。

 太平洋数碼三期は、上の階になるにしたがって空き店舗が多くなり、ややさびしい雰囲気だった。どちらかというと、百脳匯の方が客が多く活気があった。いずれも、Androidスマートフォンは、やはりHTC社とSamsung社の製品が主流だった。iPhoneの取り扱いは、不夜城よりも浦東の電気街の方がやや多い感じを受けた。

 百脳匯には中国OPPO社のショップがあった。もともと音楽プレーヤーで有名になったメーカーで、同社のスマートフォンは特に若い女性に人気だという。通りがかったときには、若い女性が熱心に店員の説明を受けていた。