米Applied Materials, Inc.(AMAT)は、太陽光発電に関する一般消費者を対象とした意識調査を実施し、日本の消費者は太陽光発電が従来電源よりも高コストととらえがちだと発表した(ニュースリリース:日本語版)。AMATは半導体、液晶パネル、太陽電池の製造装置メーカー。同社による太陽光発電に関する意識調査は2012年で4度目となり、今回は中国、インド、日本、米国を対象とした。

 AMATによれば、2012年末に世界人口のほとんどで太陽光発電はグリッド・パリティに到達する見込みという。今回の調査では、全回答者の55%がこうした状況を認識しており、火力発電などの従来電源よりも太陽光発電のほうがコストは低いと考えている。特にインドでは、回答者の68%が太陽光発電のほうが従来電源より低コストと答えた。逆に、太陽光発電のほうが高コストと答えた人の割合が最も多かったのは日本で、51%だった。全体では、太陽光発電のほうが高コストと考える人は35%で、そのうち39%が9年以内に太陽光発電のコストが従来の発電コストと同等以下になるとみている。

 AMATのSolar divisionのpresidentであるCharlie Gay氏は太陽光発電のコストについて以下のように展望を述べた。「太陽光発電のコストは現在、1W当たり1米ドル以下。これは、100カ国以上で太陽光発電がグリッド・パリティに達したことを意味する。サプライ・チェーンにおいて大幅にコスト・ダウンが進んだ結果、世界の太陽光発電設備の設置数は2011年の1年間で爆発的に伸びた。これにより、エンド・マーケットのコストが大幅に下がり、技術革新の進展と合わせて、太陽光発電のコストはさらに下落するだろう」。

太陽光発電による雇用創出、日本は懐疑的

 また、太陽光発電市場が雇用創出をもたらす、とみる回答者は半数近く(46%)に上った。米国では58%と4カ国で最も多く、中国とインドはそれぞれ49%、48%のほぼ同率。日本の消費者の見方はより慎重で、太陽光発電市場は雇用創出にあまり結びつかないと回答した人が4割に上る。

 AMATのEnergy Policy and Market Developmentでsenior directorを務めるCathy Boone氏は「太陽光発電業界が創出する雇用の5割以上は、建設要員、設置要員、営業担当、設計者、エンジニア、電気技師など、太陽電池パネルが工場から出荷された後の作業に携わる職種が占める。したがって、化石燃料から太陽光発電への転換に力を入れる国や自治体では、太陽光発電産業の成長が現地の雇用に直結するはずだ」との見方を示した。

 なお、太陽電池パネルの設置数が最も多い国はどこか、という設問に対して、最も多かった答えは米国(26%)、次が日本(22%)で、正解のドイツを選んだ人は17%にとどまった。日本の消費者はこの問題の正答率が最も高く35%で、これに対し米国は9%、中国は15%、インドは9%だった。IHS iSuppliによると、2011年現在の太陽電池パネル設置数は、第1位がドイツ、次いでイタリア、日本、スペイン、米国、中国となっている。