ビーラインの湯浅氏
ビーラインの湯浅氏
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6月末に提供予定のシュレックを題材にしたソーシャルゲーム
6月末に提供予定のシュレックを題材にしたソーシャルゲーム
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――ゲーム・パブリッシャーの中には、家庭用ゲームや業務用ゲームを開発していた人材をソーシャルゲームの開発に振り分けている。ビーラインも同様か?

湯浅氏 我々の開発チームには、家庭用ゲームや業務用ゲームを開発していた人材はほとんどいない。コンピュータ・サイエンスを学んだ人間やアーティスト、玩具のデザインをしていた人間などが、ソーシャルゲームの開発に携わっている。それは、待ち時間や歩きながら楽しむ、携帯機器向けソーシャルゲームと、これまでの家庭用ゲームや業務用ゲームとは、その利用シーンが異なるからだ。利用シーンが違えば、ゲーム内容も変えなくてはならない。家庭用ゲーム機で販売していたゲームをスマートフォンにほぼそのまま移植しても、成功するのは難しい。

 作り手のエゴに陥らない開発方法を採用することも重要だ。例えば、身近な人に開発したゲームを試遊してもらうことが有効だと思う。モンスターペットショップでは、ゲーム内で育てたモンスターを売る。同ゲームは当初、男性ばかりで企画・開発しており、売ったモンスターは、売ったら二度と交流することはなかった。

 この試作版を、ある開発スタッフが幼い娘にやらせてみたところ、「手塩に掛けて育てたモンスターをなぜ、売らないといけないのか」と問われたという。そこで、「売る」という設定から、モンスターが「もらわれていく」という設定に変えた。モンスターがもらわれていった後も、そのモンスターからポスト・カードが定期的に届くようにした。この仕組みが功を奏し、モンスターペットショップのヒットの一因になった。

――ソーシャルゲーム事業で一番苦労したことは?

湯浅氏 それは人材育成だ。ノウハウを文章にまとめたり、KPI(重要業績評価指標)などの数字に落とし込んだりしたとしても、最後は人間に行き着く。人材育成で重要なのは、失敗させることだ。失敗しないと、何が良くて、何が悪いのかが分からない。そもそも、スマーフ・ビレッジのような成功体験が続くと、挑戦しなくなる傾向が出てくる。そういった意味でも、新しい挑戦をしてもらい、失敗を糧にしてほしい。

――今後の方針について教えてほしい。

湯浅氏 繰り返しになるが、ロシアとブラジル、東南アジアに注力していく。加えて、これからはユーザー層を絞ったタイトルも出したいと思っている。ユーザー1人を獲得するのに、以前よりも2倍、3倍とコストが掛かるようになってきた。そのため、よりターゲットを絞ったコンテンツも作成することにより、効率的なユーザー獲得を図りたいと考えている。