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「接合部温度の適正なマージンを探る」、デンソーがT3Ster User Forum Japanで講演

小島 郁太郎=Tech-On!
2012/06/12 11:32
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 エレクトロニクス関連の熱設計で重要な指標が、半導体素子の接合部温度(TJ)である。一般に、半導体メーカーのデータシートを使うことで、TJは求めることができる。ただし、その値には、半導体メーカーが決めた「マージン」が載っている。これは、TJを算出するのに使用する熱抵抗にマージンが載っているためである。設計者としては、マージンの載っていない真のTJが知りたいところだ。

講演する篠田氏
メンター・ジャパンが撮影。
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図1●データシート利用の課題
デンソーのスライド。
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図2●シミュレーションの課題
デンソーのスライド。
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図3●θJCTopとθJCBottomを利用する手法
デンソーのスライド。
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 適正なマージンによるTJを見積もる試みについて、デンソーが「T3Ster User Forum Japan」(2012年5月11日に東京でメンター・グラフィックス・ジャパンが開催)で講演した。登壇したのは、篠田卓也氏(電子技術2部 技術企画室 技術企画1課 担当係長)である(Tech-On!関連記事1同2)。同氏の経験によれば、日本の半導体メーカーのデータシートの値には、欧米の半導体メーカーのそれに比べて 約1.2~2倍程度のマージンが載っているという。

 マージンの大きなデータをベースに熱設計すれば、例えば、放熱対策部品のコストが上がる。「世界市場で戦おうとすれば、このコスト上昇は痛い。適正なマージンによるTJを知って設計すれば、コストを下げられる可能性が高まり、競争力のある製品を開発しやすくなる」(同氏)。

三つの既存方法にはそれぞれ弱みがある

 篠田氏の説明では、TJを求める既存の方法は三つある。第1は、半導体メーカーのデータシートに掲載されている過渡熱抵抗のグラフからΔTJを求めて、素子の外部の測温結果に加算する方法である(図1)。この方法では、上述したように、過渡熱抵抗値にマージンが載っており、TJは真値より高めに見積もられる。

 第2の方法では、シミュレータを使ってTJを求める(図2)。ただし、それには、パッケージやチップの構造(物理的な寸法)、および、これらの材料の物性値が必要になる。その多くは一般に公開されていない。ただし、「例えばパッケージの樹脂は、複数の材料の混合物であり、物性値を正確に測定することが、そもそも困難。半導体メーカーが閉鎖的という理由だけではない」(同氏)。守秘契約を結んだとしても、第2の方法には限界がありそうだ。

 第3の方法では、半導体メーカーが提供する定常θJCTop(素子の接合部(例.図1の1.48℃/W)と、素子を収めたケース(パッケージ)上面との間の熱抵抗)とθJCBottom(素子の接合部とケース下面との間の熱抵抗)を使う(図3)。すなわち、熱電対を使って素子を収めたケースの上面と下面の温度を測定し、その結果とθJCTopおよびθJCBottomから、TJを算出する。

 ただし、この方法では、接触式の測温手段である熱電対を使っているため、測定対象との接触熱抵抗や、熱電対からの放熱など、測定上の複数の課題がある。また、θJCTopやθJCBottomを提供できる半導体メーカーが少ない。この方法でも、正確な真のTJは難しい。

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