Andrew House氏
Andrew House氏
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――HTC社がPlayStation Mobileに参加した。ソニー・グループ以外で、同社が初めて対応した理由は?

House氏 HTC社は早くからPlayStation Mobileに興味を示してくれた。それが理由のひとつだ。同社と組んだことは、地域戦略の面でも意味がある。HTC社は北米で強いブランド力があるのに対し、ソニーは日本と欧州でブランド力がある。つまり、PlayStation Mobileにとって、HTC社とは補完関係にある。

2011年1月の発表段階から、PlayStation Mobile(当時はPSS)はソニー・グループ以外のAndroid端末に展開するという、オープンな姿勢を打ち出していた。Androidのエコシステムは膨大だ。我々の強みは、その中で開発環境づくりをできることである。

 デジタルの世界では二つの魅力がある。一つは、ソフトウエアベースで、これまでよりも安価にSDKを提供できることだ。PS2やPS3などではフィジカルな開発ツールが必要で、コスト高につながっていた。2012年4月には、オープンベータ版のSDKの配布を始めた。規模の小さい開発企業にも積極的に参加してもらいたいと考えている。

 加えて、PlayStation Certifiedについてあまり気が付かれていないが、この認証を得るために新しいハードウエアを開発する必要はない。既存の機器にも認証を与えられる。

――最後に、PS Vitaの今後のてこ入れ策を教えてほしい。

House氏 大別して三つある。第1に、PS Vitaならではのコンテンツを提供することだ。今回のE3であれば、例えばフランスUbisoft社の「Assassin's Creed 3 Liberation」がそれだ。同ゲームは、他のプラットフォーム向けゲームの単なる移植ではなく、Vita向けに新規に開発してもらった力作だ。

 第2に、ゲーム以外のネットワーク・サービスを拡充していく。例えば、YouTubeや米Hulu社の動画配信サービスなどだ。SCEのネットワーク・サービス「PSN」のIDでこうしたサービスを管理できるのは、ユーザーにとって利便性が高いと考えている。

 第3に、PSPや初代PS向けゲームといった、これまで蓄積した過去の膨大なコンテンツをPS Vita向けに提供していく。