図1 江口氏が登壇(右)
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図2 「ワールドマップ」でコメントを見られる
図2 「ワールドマップ」でコメントを見られる
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図3 ゲームパッドの画面をタッチすると、その場所に足場ができる。写真内にある、マークが付いた赤い長方形の物体が、その足場。
図3 ゲームパッドの画面をタッチすると、その場所に足場ができる。写真内にある、マークが付いた赤い長方形の物体が、その足場。
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 任天堂がE3開催初日の6月5日夕方に開催したラウンドテーブルでは、Wii Uや対応ゲームなどの開発を主導した同社 情報開発本部 制作部の江口勝也氏が登壇し、Wii Uにかけた思いや対応ゲームの開発について述べた(図1)。この内容を数回にわたって紹介する。今回は、前回の記事で取り上げたコミュニケーション・サービス「Miiverse」の応用事例について紹介する。

 Miiverseへの思いを江口氏が語った後、発表会の後半から、Wii U対応のマリオ・シリーズの最新作「New SUPER MARIO BROS. U」の制作を手掛けた手塚卓志氏も登壇し、同ソフトの特徴の他、Miiverseの活用法について語った。手塚氏は、「Miiverseの機能は単なるソーシャル掲示板ではなく、ゲームに応じて使い方がいろいろ変わる。まさにゲーム次第だ」と説明した。
 
 今回はNew SUPER MARIO BROS. Uを引き合いに出し、その事例を紹介した。同ゲームにおけるMiiverseの使われ方として、どのような状況で、ユーザーにコメントを求めるのかについて説明した。ゲーム中で何度も失敗した場合と、逆にとてもすばらしいプレイをした場合の二つの局面で、ユーザーにコメントを求めるようにしたという。New SUPER MARIO BROS. Uの場合、各ユーザーが寄せたコメントをゲーム中の他、各ステージなどを移動する「ワールドマップ」でコメントを見られる(図2)。

 手塚氏は、マリオにおけるゲームパッドの利用法についても紹介した。ゲームパッドのユーザーは、Wiiリモコンで操作しているユーザーのサポート役になれる。例えば、ゲームパッドに映し出されたゲーム・ステージ内をタッチすると、その場所に足場ができる(図3)。リモコンのユーザーはその足場を使い、ゲーム内で進みにくい場所に移動できたり、落とし穴に落ちるのを防いだりできる。こうしたサポート役は、アクション・ゲームに不慣れな人でも参加しやすく、ユーザーの拡大にも貢献する。
 加えて、ゲームパッドのユーザーとリモコンのユーザーの気持ちが合ってこそうまく操作できるので、これをもちつきになぞらえ、「二人の気持ちが合っていないと、おいしいおもちはできない」とし、会場から笑いを誘っていた。

 講演後、会場からの質問にいくつか答えた。例えば、「ターゲットとするユーザー層は同じか?」という問いに対し、「Wiiの段階から、5歳から95歳までをターゲットにしてきた。Wii Uでもそれは変らない。むしろその路線をさらにパワーアップさせている」(江口氏)と説明した。

 「ゲームパッドを2台利用した場合、ゲームパッドのディスプレイに表示する映像のフレームレートを変えるなど、ハードウエアの処理負担を軽減する仕組みを取り入れているのか」という主旨の質問に対しては明言を避けた。だが、「確かに、ゲームパッドのディスプレイが二つになることで処理負担は重くなるが、その分楽しさは増す」(江口氏)とし、2台のゲームパッドを利用する意義を強調した。さらに、「必ずしも、3画面(テレビ+ゲームパッド×2台)すべてに60フレーム/秒の画像を出す必要はない」と付け加えた。むしろ、テレビ画面とゲームパッドの画面の役割分担が重要だという。

 そもそも、3画面すべてに処理負担の大きなHD画質の映像を表示するようなハードウエア構成にすると、「コストが上昇し、みんなに買ってもらえる値段にならないのではないか、という不安がある。だからこそ、購入できる値段にすることを目指した。そもそも私自身がお小遣い制なので。(その気持ちはよく分かる)」(江口氏)とした。

 Wii Uゲームパッドに搭載されたNFC機能の活用法について質問が出た。明言を避けたものの、任天堂のオンライン・ショップなどでコンテンツなどを「買いやすくする方向にする」(江口氏)と述べた。