図1 BCM4708xを組み込んだ無線LANルータ
図1 BCM4708xを組み込んだ無線LANルータ
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図2 実験環境
図2 実験環境
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図3 Flow Acceleratorを使わない場合のCPU利用率。PID7のところが49.9%になっている
図3 Flow Acceleratorを使わない場合のCPU利用率。PID7のところが49.9%になっている
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図4 Flow Acceleratorを使った場合のCPU利用率。PID7のところがゼロになっている
図4 Flow Acceleratorを使った場合のCPU利用率。PID7のところがゼロになっている
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 米Broadcom社は「Computex Taipei 2012」(2012年6月5~9日、台湾・台北市)で、家庭や小規模企業のネットワーク製品に向けた統合SoC「StrataGX BCM5301x」および「BCM4708x」を展示している。GビットEthernetのMAC層、PHY層のほか、NAT(network address translation)などTCP/IP層での定型的な処理を行う専用回路(Flow Accelerator)、1ポートのUSB3.0、2ポートのUSB2.0、Cortex A9ベースのデュアルコアのアプリケーション・プロセサ、DDR2/3に対応したメモリ・コントローラなどを内蔵する。

 基本的な機能が一つにまとまっているので、このチップとメモリ、コネクタを用意すればネットワーク機器を作ることが可能だ。IEEE802.11acでは無線区間の伝送速度が1Gビット/秒を超えることから、同社のIEEE802.11ac対応チップと組み合わせて使うのに適しているという。StrataGX BCM5301x がNAS(network attached storage)用、BCM4708xが無線LANルータ用を想定している。

 展示では、Flow Acceleratorを動作させた場合と、動作させなかった場合でアプリケーション・プロセサの負荷が違うことを示していた。具体的には、内部で発生する約15Gビット/秒のトラフィックに対してNATを動作させた場合は、CPU利用率が100%(図3ではデュアルコアの一方が100%なので49.9%)に達するのに対し、Flow Acceleratorを動作させた場合は、CPU利用率が0%になっていた。

 StrataGX BCM5301xとBCM4708xは現在、サンプル・チップを提供中。2012年後半に大量生産品の出荷を開始する計画である。なお、両製品ともに、IEEE802.3azで規定された省電力機構もサポートしている。