WiLnkのデモの様子。タブレットはOMAP 4ベース。左側ではWi-FiでHDビデオストリームを受信しながら、Bluetoothで音声を手前のスピーカーに伝送。右側ではGNSS機能を用いてマップを表示させながら、ANT+デバイスから心拍数と歩数を受信し表示。いずれのワイヤレスもWiLinkチップを利用している。
WiLnkのデモの様子。タブレットはOMAP 4ベース。左側ではWi-FiでHDビデオストリームを受信しながら、Bluetoothで音声を手前のスピーカーに伝送。右側ではGNSS機能を用いてマップを表示させながら、ANT+デバイスから心拍数と歩数を受信し表示。いずれのワイヤレスもWiLinkチップを利用している。
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ZigBee Light Linkのデモ。ZigBeeに対応したスマートフォンを使って、LED照明の色や明るさを制御。CC2530は丸い形状のLED基板上に実装されている。
ZigBee Light Linkのデモ。ZigBeeに対応したスマートフォンを使って、LED照明の色や明るさを制御。CC2530は丸い形状のLED基板上に実装されている。
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 米Texas Instruments Incorporated(TI)は、2012年6月5日から台北で開催されている「COMPUTEX TAIPEI 2012」に合わせて、同社のWiLinkチップを使ったソリューション(ニュース・リリース)と、ZigBee Light Linkソリューション(ニュース・リリース)を発表した。合わせて、COMPUTEXの会場のひとつである台北国際会議センター(TICC)内に設けたプライベートブースで、両ソリューションのデモを行った。

 2012年2月に発表済みのWiLink 8.0チップは、Wi-Fiのほかに、Bluetooth、Bluetooth LE(Low Energy)、GNSS(GPS)、NFC、ANT+、FMラジオレシーバ機能などをワンチップ化したワイヤレスチップである。個別のチップで構成する場合に比べて、コストで60%、実装面積で45%、消費電力で30%がそれぞれ削減できると訴求する。

 今回TIは、このWiLink 8.0と、ARM Cortex-A15 MPcoreベースの同社のOMAP5プロセサとの組み合わせにて、Wi-Fi Allianceが定める「Wi-Fi CERTIFIED Miracast」に対応したソリューションを提供すると発表した。なお、Wi-Fi CERTIFIED Miracastとは、「Wi-Fi Display Specification」に則ってHDビデオを伝送する機器間の互換性を保証する認証プログラムである(Wi-Fi Allianceのニュース・リリース)。

 TIは、OMAP 5+WiLink 8.0での組み合わせのときに、スマートフォンなどの送信デバイスからテレビなどの受信デバイスまでのレイテンシを、Wi-Fiベースでは業界最小となる100ms以下で実現できるとする。また、OMAP 5が備えるM-Shield機能を用いて、エンドツーエンドでの暗号化機能も提供する。

 Miracast対応ソリューションは、現行世代のOMAP 4+WiLink 7.0の組み合わせにて、大手ユーザーにすでに提供中である。OMAP 5+WiLink 8.0の組み合わせは2012年後半を予定している。

 もうひとつのソリューションが「ZigBee Light Link」への対応である。コントローラチップとしては「CC2530」を使う。

 ZigBee Light Linkは、小電力無線として普及が進むZigBeeをベースに、照明器具の制御を行うプロトコルとして、業界団体のZigBee Allianceによって定められた。たとえば管球(LED電球)にZigBee Light Link機能を搭載すれば、既存の配線や照明器具を変更することなく、手元のコントローラで調光を一元的かつインテリジェントに実現できるようになる。

 TIでは、CC2530をZigBee Light Linkに対応させるプロトコルスタック「Z-Stack for ZigBee Light Link」の開発を進めており、サンプル版の提供を一部ユーザーに開始した。完全版は第3四半期に提供予定である。

 CC2530は、マイクロコントローラ、RFトランシーバ、プログラミング用のフラッシュメモリやRAMなどを統合したSoCで、ZigBee AllianceからはZigBee Light Linkの「Golden Unit」(認証の基準となるチップ)として認められているという。今後同社では照明の新たな応用を提案していく考えだ。