任天堂は、ゲーム業界の世界最大級の展示会「Electronic Entertainment Expo(E3)」の開催に先立ち、Web上の発表会「ニンテンドーダイレクト Pre E3 2012」を日本時間6月4日午前7時に配信した。この中で、2012年末に発売予定の据え置き型ゲーム機「Wii U」に関する新情報を明らかにした。大別して二つある。一つはタブレット型コントローラにおける変更点。もう一つは、新しいコミュニケーション・サービス「Miiverse(ミーバース)」である。

 Wii Uは、6.2型のディスプレイを備えたタブレット型のコントローラ端末を備えており、この画面とテレビ画面の二つを利用してゲームを楽しむことができる。タブレット型コントローラのディスプレイはペン入力も可能で、DSシリーズで使うようなペンが付属している。さらにコントローラには、NFC(near field communication)の機能を搭載している。

 今回、このコントローラの正式名称「Wii Uゲームパッド」を明らかにした他、ハードウエア上の変更点を明らかにした。例えば、左右にあるアナログ入力可能な平たい「スライドパッド」を、スティック状のものに変えた。この変更にともない、アナログ入力スティックの配置や、Wii Uゲームパッドの裏面形状を変えたりした。

 この他、コントローラの表側の左下にNFCのリーダ/ライタを可能にする領域を設けた。さらに、「TVコントロール」というボタンを表側の右下に加えた。ここを押せば、Wii U本体を起動していなくても、テレビの赤外線リモコンとして利用できるようになる。Wii Uの起動にも利用できるという。

各家のリビングをつなげる


 Wii Uゲームパッドのメニュー画面には、各種ゲームのアイコンが現れ、たくさんのアバター「Mii」が「わらわら」と出てくる。各アイコンの周辺には、そのアイコンのゲームを実際に楽しんでいるユーザーのMiiが集まる。これにより、各ユーザーがどのようなゲームを楽しんでいるのかを把握できる。

 こうした機能を実現するために導入したのがMiiverseである。Miiverseは、Miiと英語のUniverseを足し合わせた造語。全世界のMiiをつなぐ場として用意したという。任天堂のネットワークサービス「ニンテンドーネットワーク」における「重要な柱」(同社 代表取締役社長の岩田聡氏)と位置付け、ユーザー同士の「共感」のコミュニケーションを促進させる狙いがある。

 Wii Uゲームパッドに表示されたバーチャル・キーボードを通じて文字入力ができる他、タッチ・パネルによる手書き入力にも対応する。特に手書きによるコミュニケーションは、「自然と個性や感情が伝わり、より強いつながりを感じることができる」(岩田氏)とする。

 加えて、Miiの表情を送ることもできるので、相手とのコミュニケーションを図りやすくしている。この他、ゲーム中断時のスクリーンショットを投稿することもできるという。こうしたネット上でのコミュニケーションでは、ゲームのクリア方法や先のシナリオなど情報が事前に分かってしまう「ネタばれ」が問題となる。このネタばれへの対策も講じたとする。

 各ユーザーの書き込みなどは、手元にあるWii Uゲームパッドのディスプレイで閲覧できるので、テレビで見るよりも見やすいという。すべてのWii U用ゲームは、Miiverseに対応する。

 Miiverseによって、各家のリビングをつなぐ窓である「ソーシャルウインドウ」がWii Uゲームパッド上に生じるという。このウインドウを通じて、世界中のリビングをつなぐ「Wii Universe」の構築を目指すとした。Miiverse自体はインターネット上のサービスのため、任天堂のゲーム機だけでなく、パソコンやスマートフォンなどのブラウザソフトでも利用できるようにした。

 発表会の最後の方では、タブレット型コントローラを導入した意義を四つ強調した。「コンソールがテレビから自由になる」「2画面で新しいエンタテインメントを提案する」「毎日電源を入れてもらうきっかけをつくる」「複数のリビングをつなぐソーシャルウインドウになる」である。

 なお、現地時間2012年6月5日午前9時(日本では6月6日午前1時)から開催される任天堂の発表会では、Wii Uの対応ソフトなどが発表になる。ただし、3DSに関する情報は発表しないという。