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【ワイヤレスジャパン】「ローカルエリアは高周波数帯で」、NTTドコモが考える2020年の移動通信

蓬田 宏樹=日経エレクトロニクス
2012/06/02 00:08
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 NTTドコモ 無線アクセス開発部 担当部長の中村武宏氏は、「ワイヤレスジャパン 2012」の技術セミナーで講演し、2020年頃の移動通信のイメージについて語った。中村氏は3GPPで次世代のアクセス方式を議論する「TSG-RAN」部会の議長でもある。今回のセミナーでは、現行LTEの拡張方式である「LTE-Advanced」(3GPP リリース10)の概要に加え、2020年頃の実用化を想定する「リリース 12」の検討が、いよいよ始まることを明らかにした。

 3GPPはこれまでに、LTE-Advanced(リリース10)の仕様を勧告しており、現在はその改訂版となる「リリース11」の策定作業を進めている。リリース11は早ければ2012年9月にも仕様が凍結する予定という。次はいよいよ2020年以降の無線アクセス規格となる「リリース12」の策定作業が始まる。3GPPは2012年6月中旬に、リリース12の策定作業に先立って、専門ワークショップを開催し、各国の事業者や無線アクセス機器を開発するメーカーなどの声を集め、リリース12の要求条件を固めていく考えだという。

 中村氏は今回の講演において、リリース12以降の移動通信サービスに求められる要求条件の想定例を、「3GPP議長ではなく、NTTドコモの考え方」として挙げた。それによれば、1)今後のトラフィック増大に対応できること(2010年から2020年の間にトラフィックが500倍以上になると仮定)、2)多様なトラフィックに対応できること(スマートフォンのシグナリング、ゲームなど低遅延が求められるクラウド・トラフィック、多数のM2Mトラフィックなど)、3)ユーザーが体感する最大スループットを2020年に10Gビット/秒程度まで高めること、4)ユーザー・スループットの公平化(セル端などでのアンフェアを解消)、5)ネットワークをフレキシブルで低コストに導入できること、6)端末の電池駆動時間の増大に向くこと、7)災害に対するシステムの強さ、そして8)バックワード・コンパチビリティである。

 こうした要求条件を述べた上で中村氏は、リリース12に求められる技術のポイントとして「ワイドエリア、およびローカルエリアの拡張」を挙げた。ここでワイドエリアとは、マクロセルによる屋外などのWANネットワーク環境化を指し、一方のローカルエリアとは、ビル内や家庭内など、比較的近距離の接続を指す。移動通信のトラフィックの大きな割合が、ローカルエリアで発生していることを踏まえ中村氏は、「今後、ローカルエリアに向けたエンハンスメントにフォーカスする」と、ワイドエリアに加えてローカルエリアでの特性向上に期待するとの見方を示した。

 中村氏はこの際、ローカルエリアには高い周波数帯も積極的に使っていくとの考え方を示した。こうした高い周波数帯では、比較的帯域幅を確保しやすいことに加え、ローカルエリアでの通信であれば、電波の回り込みの少ない高周波数帯であっても適用できる用途は多いとの見方である。「一つの端末で、既存の周波数帯のほか、より高い周波数帯も使っていく」(中村氏)。

 こうした場合、携帯端末には、今まで以上に多数の周波数帯の送受信に対応することが求められそうだ。現行利用する800MHz帯や2GHz帯などに加え、3.4~3.6GHz、もしくはそれ以上に高い周波数帯への対応も必要になる。このほか、マクロセルなどの基地局と、ビルや家庭に設置される超小型基地局もしくはアクセスポイントの間で、セル間協調などの技術を利用する機会がさらに増えそうだ。

 今後3GPPでは、リリース12の要求条件の洗い出しなどを進めながら、2020年の移動通信像を固めていくとしている。

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