図1 ソニーの2011年度の連結業績(図:ソニー)
図1 ソニーの2011年度の連結業績(図:ソニー)
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図2 2011年度のセグメント別の売上高と営業利益(図:ソニー)
図2 2011年度のセグメント別の売上高と営業利益(図:ソニー)
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図3 2012年度の連結業績見通し(図:ソニー)
図3 2012年度の連結業績見通し(図:ソニー)
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 ソニーは2012年5月10日に、2011年度(2011年4月~2012年3月)の連結決算を発表した(業績発表資料の掲載ページ)。売上高は6兆4932億円で、前年度に比べて9.6%減少した。営業損失は673億円(前年度は1998億円の営業利益)で、最終損失は4567億円となった。エレクトロニクス事業を構成する「コンスーマープロダクツ&サービス」分野と「プロフェッショナル・デバイス&ソリューション」分野はいずれも営業赤字だった。

 コンスーマープロダクツ&サービス分野は、売上高が前年度比18.5%減の3兆1368億円だった。主に、液晶テレビ、パソコン、デジタル・カメラ、ゲームの減収が影響した。特に「テレビ」事業は、売上高が前年度比30.0%減の8404億円と大幅な減収となった。同分野は、減収による利益の減少、原価率の悪化、持分法による投資損益の悪化などにより、2298億円の営業損失(前年度は108億円の営業利益)だった。

 プロフェッショナル・デバイス&ソリューション分野は、売上高が前年度比12.6%減の1兆3138億円だった。電池やストレージ媒体などの「コンポーネント」カテゴリーの売上高が、東日本大震災や為替の影響などで大きく落ち込んだことが主因である。営業損益は202億円の損失だった(前年度は277億円の営業利益)。

 2012年2月15日に100%子会社化したSony Mobile Communications社(Tech-On!の関連記事)による「ソニーモバイル」分野は、売上高が777億円で営業利益が314億円だった。売上高は、100%子会社化から2012年3月31日までのもの。営業利益は、100%子会社化以前の持分法による投資損益(マイナス577億円)、100%子会社化以降の営業損益(マイナス132億円)、同社の支配権取得に伴う評価差益(プラス1023億円)を合計したものである。Sony Mobile Communications社の2011年4月~2012年3月までの業績は、売上高が前年度比12.4%減の52億8900万ユーロ、税引前損益が5億3600万ユーロの損失(前年度は1億3300万ユーロの利益)だった。

 この他、「映画」分野は売上高が6577億円で営業利益が341億円、「音楽」分野は売上高が4428億円で営業利益が369億円、「金融」分野は金融ビジネス収入が8719億円で営業利益が1314億円だった。

2012年度は14.0%の増収へ

 ソニーは併せて2012年度(2012年4月~2013年3月)の連結業績予想も発表した。売上高は前年度比14.0%増の7兆4000億円、営業利益は1800億円、当期純利益は300億円を見込む。分野別の業績予想は非公表だが「エレクトロニクス事業全体での黒字化を達成する」(ソニー 執行役 EVP CFOの加藤優氏)。設備投資額は前年度比28.8%減の2100億円、研究開発費は同10.7%増の4800億円の見通しである。

 コンスーマープロダクツ&サービス分野については、数量を追わない方針を打ち出した液晶テレビが減収になるものの、デジタル・イメージング製品やパソコンの販売が回復することで、全体では2011年度比で大幅な増収を見込んでいる。黒字化には至らないが、テレビ事業の損失減少などによって営業損失が大幅に縮小する見通しだ。

 テレビ事業は、2011年度は1480億円の営業損失だった。「1750億円の赤字の見通しだったが270億円改善した。韓国S-LCD社の合弁解消(Tech-On!の関連記事)に伴う液晶パネルの調達コスト削減効果が想定以上に出てきている」(加藤氏)としており、2012年度はテレビ事業の損失を800億円程度まで減らせる見通しとする。テレビ事業の売上高は2011年度比12%減の7400億円程度を想定する。

 プロフェッショナル・デバイス&ソリューション分野は、東日本大震災やタイ洪水の悪影響からの回復により、増収と黒字化を見込む。Sony Mobile Communications社については、スマートフォンの販売台数の拡大による増収と、製品ミックスの改善やコスト削減などによる損失縮小を見込んでいる。