図1 今回のインタビューに応じたnasne担当者。左から、SCE Worldwide Studios JAPANスタジオ インターナルデベロップメント部 ゲームデザイングループ クリエイティブディレクターの西沢学氏、同社 商品企画部 ハードウエア企画課 課長の渋谷清人氏、同社 ペリフェラル事業部 開発部2課 課長の河原裕幸氏。中央に写るのがnasneである。
図1 今回のインタビューに応じたnasne担当者。左から、SCE Worldwide Studios JAPANスタジオ インターナルデベロップメント部 ゲームデザイングループ クリエイティブディレクターの西沢学氏、同社 商品企画部 ハードウエア企画課 課長の渋谷清人氏、同社 ペリフェラル事業部 開発部2課 課長の河原裕幸氏。中央に写るのがnasneである。
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図2 サムネイルを表示したところ
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図3 nasneの設定画面
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図4 nasneに登録されたクライアント機器
図4 nasneに登録されたクライアント機器
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図5 テレビ番組の視聴中に、画面下側に番組表を表示できる。契約している有料放送の番組名の文字は濃く、逆に契約していない場合は番組名の文字を薄くしている。また、各番組の情報を表示するボックスの幅を狭め、1画面になるべく多くの番組を表示するようにしている。
図5 テレビ番組の視聴中に、画面下側に番組表を表示できる。契約している有料放送の番組名の文字は濃く、逆に契約していない場合は番組名の文字を薄くしている。また、各番組の情報を表示するボックスの幅を狭め、1画面になるべく多くの番組を表示するようにしている。
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前編はこちら

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は2012年4月17日、500GバイトのHDDと、地上/BS/110度CSデジタル・チューナーを搭載した「nasne(ナスネ)」を同年7月19日に日本で発売することを明らかにした(Tech-On!関連記事1)。nasneは、ネットワークレコーダー(テレビ番組の録画・視聴・録画管理)としてだけでなく、メディアストレージ(NAS)としても機能する。このため、同社はnasneを「ネットワークレコーダー&メディアストレージ」と呼ぶ。

 今回、日経エレクトロニクスはnasneの開発担当者に話を聞いた(図1)。後編では、nasneの操作性や今後の展開などについて紹介する。(聞き手:根津禎=日経エレクトロニクス)

――torneのように快適な操作を実現できているのか。
 SCE:nasneをtorneで使用した場合、nasneとPS3はネットワーク上でつながった機器でありながら、それを感じさせないほどの快適な操作を実現している。例えば、チャンネル切り替えや、早送りや巻き戻しなどの「トリックプレイ」がtorne並みに速い。もちろん番組表の操作も快適だ。ネットワーク・ストリーミングしていることを全く感じさせないようにしている。

 他社製品でも、スマートフォンやタブレット端末で地デジ/BS/110度CSを、無線LANを通じて視聴できる外付けチューナーなどがある。そういった製品とはチャンネル切り替え時間が遅い。torneとnasneは、それらの製品とは比較にならないほど、快適な操作を実現している。

 詳細を明かせないが、処理の最適化などによって、シーン・サーチに用いるサムネイルの表示や頭出しも高速化した。現行のPS3専用の外付け地上デジ・チューナーとtorneの組み合わせよりも、nasneとtorneの組み合わせのほうが速い(図2)。

――nasneの設定も容易なのか?
 SCE:PS 3の場合、もともとDLNAクライアント機能を備えている。これを活用すれば、nasneをメディアサーバとして容易に認識してくれる。設定画面で「メディアサーバ接続」を有効にすれば、自動で認識してくれる。

 nasneの各種設定は、WebKitベースのアプリを通じて実行できる。つまり、Webブラウザーであれば設定を変えることができる。テレビ番組の視聴・録画は、あくまで各端末(クライアント機器)のアプリ(torneなど)を通じて行う(図3)。

 クライアント機器からは複雑な設定をすることなくnasneにアクセスできる。nasneのクライアント機器は、自動で登録される(図4)。もちろん、手動で登録することもできる。クライアント機器登録を手動に設定しておくことで、nasneに対する、所望しないクライアント機器からのアクセスを制限できる。

――情報提示の方法もtorneのように分かりやすいのか?
 SCE:例えば、テレビ番組の視聴中に画面下側に表示させる番組表において、nasneに挿入された「B-CASカード」の情報を読み取り、契約している有料放送の番組名の文字は濃く、逆に契約していない場合は番組名の文字を薄くする。ただし、有料放送ながら、期間限定で無料放送している番組名の文字は濃く表示できる。

 この他、BS、CSとチャンネル数が増えたので、テレビ番組の視聴中に画面下側に表示させる番組表に、新しい表示バージョンを加えた。各番組の情報を表示するボックスの幅を狭め、1画面になるべく多くの番組を表示するようにした。その見た目は、短冊のようである(図5)。

――最大何番組同時録画できるのか?
SCE:搭載するメモリの関係で、PS3の場合、nasneを4台とPS3専用の地上デジ・チューナー1台を接続し、最大5番組を同時に録画できる。一方、VAIOであればメモリが多いので、nasneを8台使い、8番組の同時録画が可能だ。

 PS 3でtorneを使って録画予約を行う場合、録画先を「自動」とすると、HDDの空き容量や録画を始める時間帯などの状況に応じて、家庭内ネットワーク上にあるどのnasneに録画するのかを自動で決めてくれる。このとき、有料放送を契約しているB-CASカードを挿入しているnasneにはなるべく録画しないようにする。有料放送を録画するときにとっておくためである。

――その他の特徴は?
 SCE:torneはPS3の起動が前提だったが、nasneは単体でも動作する。nasneは常に動作させていることを前提に、消費電力を9.5Wと抑えた。さらに省電力モードも備えている。省電力モードをオンにして、一定時間利用しないときに自動的に待機状態になる。

 また、DTCP-IPストリームを2本同時に送信できることも、nasneの特徴である。これで、放送中の番組や録画した番組を家庭内において、2台のクライアント機器で同時に視聴できる。例えば、リビングにあるPS3でnasne内に録画したドラマを視聴し、同じnasne内で録画してあるニュース番組をタブレット端末で視聴できる。また、同じ番組の異なる場面を2台のクライアント機器で視聴できる。例えば、PS3では映画番組の後半を、タブレット端末では同じ番組の前半を見る、といった具合だ。

――今後の予定は?
 SCE:nasneを発売直後、ファームウエアをver.1.5にアップデートする予定だ。詳細は明かせないが、主に「メディアストレージ(NAS)」としての機能を強化したいと考えている。ユーザーが撮影した写真や動画といったプライベート・コンテンツを配信できるようにするための機能を追加する。

――nasneのビジネス・モデルは?

 SCE:基本的に、(nasneという)ハードウエアを販売して利益を得る。

――torneやnasneを海外で販売する予定は?
 SCE:torneとnasneは、海外展開を視野に入れている。しかし、現時点では未定である。