鴻海 CEOの郭台銘氏(写真:加藤 康)
鴻海 CEOの郭台銘氏(写真:加藤 康)
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 台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海、通称Foxconn)CEOの郭台銘氏は、シャープおよび大阪府堺市にある液晶パネル工場の運営会社に出資した理由と展望を、日経エレクトロニクスに対し説明した。郭氏は、「日台協力の成功事例とすべく、全身全霊をささげる」と強調。主に2点述べた。(1)堺工場の生産能力を大幅に引き上げた後、2017年までに工場運営会社の株式を上場する。(2)液晶関連以外の分野でもシャープと積極的に提携していく。

堺工場は世界の宝


 郭氏は堺工場の価値を次のように認識している。「電子業界の多くの人は『堺工場の建設は間違いだった』『あれは不良資産だ』というが、私はそう思わない。第10世代というコスト競争力が高い製造プロセスを世界で最も早く実現しており、我々の予想を超えてラインが自動化されている。環境負荷も低い。こうした見方においてシャープ前社長の片山幹雄氏と私は完全に一致した」。

注)現在は取締役会長

 郭氏は、本当の問題は工場の生かし方にあったという。「パネル単体を売り歩いても、もはや世界の顧客は買わない。最終製品の設計・製造(ODM)サービスによって、もっと早く、もっと安くという世界の顧客の要求に応える。シャープは、自社ブランド品あるいは日本市場にこだわっていたのだろう。私はこの文化を変えるため、堺工場運営会社の社名を変更したい。Sakai International Corp.がよいのではないか」。

『日経エレクトロニクス』2012年4月30日号に関連記事あり