テレビとキーボードをつないで動作中のRaspberry Pi。左が英RS Components社のLee氏。右はアールエスコンポーネンツ テクニカル マーケティング部 テクニカル マーケティング エンジニアの宮原祐人氏。
テレビとキーボードをつないで動作中のRaspberry Pi。左が英RS Components社のLee氏。右はアールエスコンポーネンツ テクニカル マーケティング部 テクニカル マーケティング エンジニアの宮原祐人氏。
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シングルボード・パソコン「Raspberry Pi」。英RS Components社が35米ドルで発売した「Type B」。これをアールエスコンポーネンツが販売し、価格は3400円である。
シングルボード・パソコン「Raspberry Pi」。英RS Components社が35米ドルで発売した「Type B」。これをアールエスコンポーネンツが販売し、価格は3400円である。
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 名刺サイズのパソコン「Raspberry Pi」の出荷を始めると、販売代理を担う英RS Components社が明らかにした。日本でも同社日本法人のアールエスコンポーネンツが販売することを決めており、価格は3400円である。

 Raspberry Piは、コンピュータ教育を促すことを目的に、英Raspberry Pi財団が開発したシングルボード・パソコンである。マイクロプロセサとしてARMコア搭載チップ、OSにはLinux(Debian)を実装している。ストレージはSDカードで、家庭用テレビをディスプレイとする。ボード寸法を85.6mm×53.98mm(高さは17mm)と名刺サイズ並みに小型としているうえ、価格を25米ドルや35米ドルなど3000円程度に抑えている。

 2012年2月の受注開始後、RS Components社のもとには注文が相次ぎ、現時点で25万台を超える予約を抱えている。フル生産を続け、このほどEMC規制などに準拠することも確認、出荷を始められるようになった。同社は、まずは発売初期に予約した顧客へ出荷することを順次伝えている。今からでも同社のウェブサイトから購入申し込みが可能で、現在申し込んだ顧客に対しては2012年中のできるだけ早い時期に出荷できるようにする。

 RS Components社は、同社が展開している開発技術者向けコミュニティ・サイト「DesignSpark」から開発ツールや周辺ハードウエアなども提供する。ソフトウエアを無償で、ハードウエアも安価で用意することによって、学生や個人が設計しやすい環境を整える。同社は、Raspberry Piでは利益を求めないが、このサイトのユーザーを増やすことによって、電子部品の通信販売事業の長期的な収益拡大を期待している。

 Raspberry Piのマイクロプロセサは「ARM1176JZFS」搭載の米Broadcom社製「BCM2835」。1Gピクセル/秒のGPUによりH.264 high-profileのフルHD動画を復号化できる。プロセサの動作周波数は800MHz。発表当初の700MHzから高くした。RAM容量は256Mバイト。Ethernet、HDMI、コンポジットRCA端子、USB 2.0、3.5mmのオーディオ出力、電源供給に使えるmicroUSBなどのインタフェースを備える。

 ARMコアを採用したのは、「Linuxが最適化されていて安定して動作すること、市場で多く使われていること」(Asia Pacific Technical Marketing Manager, ElectronicsのEric Lee氏)などによる。低価格で提供するため「Coretex」シリーズといった高性能コア搭載品は選ばなかった。