「GFPC 2012」の会場の様子
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 世界のFPD関連企業の経営幹部が集まり、FPD産業の健全な発展について議論する国際会議「GFPC(Global FPD Partners Conference)」。そのメイン・イベントである基調講演やラウンド・テーブルが、2012年4月16日に兵庫県淡路市で始まった。2011年は東日本大震災の影響で開催が延期されたため、2年ぶりの開催となる。午前中の基調講演には、日本を代表するパネル・メーカー2社のシャープとジャパンディスプレイが相次いで登壇した。

シャープがディスプレイ技術を展望、Hon Haiとの提携にも言及

 最初の基調講演は、シャープの副社長 執行役員に4月1日に就任したばかりの水嶋繁光氏。同氏は「ディスプレイ技術の展望」と題して講演し、「FPDの技術や産業の世代交代を進め、最終消費者に新しい価値を提供すること」の重要性を訴えた。新しい価値を生み出すパネル技術の例として、同氏は高精細化技術を挙げた。2011年5月に同社がNHKと共同で発表した85型の8K×4K液晶ディスプレイ(7680×4320画素)や、米Apple社が新型「iPad」で採用しているようなタブレット端末用の10型級QXGA液晶ディスプレイ(2048×1536画素)である。

 8K×4K液晶については、開発前は「消費者にとって価値があるのか? 4Kで十分ではないか」という思いがあったが、開発後この1年近くで疑念はなくなったという。発表後の約1年間にわたる展示会などのデモで最も多く受けた質問は、「これは3Dですか?」というものだったことを、水嶋氏は明かした。「従来の論理では説明がつかず、大きな発見だった」(同氏)という。今まで体験したことのない高いリアリティを持つ、感性に訴える映像表示が、85型の8K×4K液晶ディスプレイでは実現可能であるとする(Tech-On!関連記事1)。

 10型級QXGA液晶については、市場拡大が確実なタブレット端末用パネルにおいても、特に急成長が期待できる領域だと述べた。ここで重要なのは、高精細化と同時にパネル消費電力が増えてしまわないようにしつつ、さらに液晶パネル一体型タッチ・パネルの性能向上を図ることだとする。シャープは、TFTの材料を従来のSiからIGZO(In-Ga-Zn-O)へ変えることで、これを実現していくとした(Tech-On!関連記事2)。

 今後のパネルの高精細化では、IGZO技術と共に、光配向技術が重要になると述べた。高精細と同時に低消費電力や高コントラストを実現するためには、高開口率を実現できる光配向技術が欠かせないという。シャープとしては、量産化で先行した光配向技術とIGZO技術を強みに、競合他社との差異化を図っていくとした。