住友電気工業は、連結子会社の米Sumitomo Electric Device Innovations U.S.A., Inc.(以下、SEDU)が、米EMCORE Corp.からエンタープライズ市場向け化合物半導体デバイス事業(技術・製品およびそれに関わる資産)を買収することで同社と合意したと発表した(ニュースリリース)。SEDUとEMODRE社は米国時間の3月27日に資産買収契約を締結。今後、米国政府当局の認可を経て、取引を完了する。

 EMCORE社は化合物半導体デバイスを自社生産し、その技術を用いて光通信関連市場(テレコム市場や光ケーブル・テレビ市場、エンタープライズ市場)、太陽電池関連市場に製品を提供している。

 一方、SEDUは、住友電工の100%子会社である住友電工デバイス・イノベーションが開発、製造し、グローバルに展開している光通信および無線通信向けの化合物半導体デバイス製品の販売、開発、市場調査を手掛けている。買収対象となる技術・製品や資産は以下の通り。

(1)クラウド・サービス用データセンターの高速大容量データ通信などで用いられる、マルチモード光ファイバ(MMF)を使った短距離(数mから数百m)伝送に適した波長850nm帯の表面発光レーザ(VCSEL)と光受光器(PD)の設計・製造・評価技術および資産

(2)それらを多芯MMFに光結合して信号伝送を行う光パラレル・トランシーバ(POD)製品の設計・製造・評価技術および資産

(3)MMF両端を光トランシーバで終端して電気コネクタで通信機器に接続する光ケーブル(AOC)製品の設計・製造・評価技術および資産

 住友電工グループはこれまで、テレコム、データコム市場で使われるシングルモード光ファイバ(SMF)を用いた高速・中長距離伝送用の光通信製品を手がけ、この分野では高いシェアを持つという。今後、クラウド・サービス用データセンター市場への製品提供を本格化することで、光通信関連市場でのプレゼンス拡大を図る。